2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス資源から芳香族ポリマーを発酵生産する微生物の育種
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23658271
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柘植 丈治 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70332260)
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Keywords | バイオマス / ポリヒドロキシアルカン酸 / フェニルアラニン / ケイ皮酸 |
Research Abstract |
本提案課題では、糖類などのバイオマス資源から芳香族ポリマーを効率的に生産する微生物の育種を行う。ここでいう芳香族ポリマーとは、ケイ皮酸誘導体を構成ユニットとするポリエステルのことであり、代謝系構築から生成物回収までを視野に入れた、全く新しい統合的な生産システムの開発を目指した基礎的研究に取り組む。この研究により、バイオマス資源から芳香族化合物を効率的に生産する技術開発を行うとともに、芳香族モノマーを取り込んだポリエステルの物性解析を目的とする。 平成24年度は、Psedomonas putidaの野生株を生産宿主として、芳香族ポリマーの合成・蓄積を試みた。野生株において、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3H5PhV)のホモポリマー合成が可能であることを確認した。また、それより炭素鎖が1つ短い3-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸(3H4PhB)についても、共重合体としてポリマー中に取り込ませることが可能であった。しかしながら、ケイ皮酸誘導体の3-ヒドロキシ-3-フェニルプロパン酸(3H3PhP)については、取り込みを確認することができなかった。重合酵素の基質特異性が狭く、側鎖の短い芳香族モノマーを取り込まない可能性が考えられるので、今後、3H3PhPを重合可能な酵素の取得について取り組む。一方で、大腸菌においてフェニルアラニンを過剰合成する株に、植物由来の人工合成遺伝子を導入して3H3PhPまでの供給代謝系を構築することも並行して検討する。これらの検討により、最終年での目標達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケイ皮酸誘導体モノマー代謝系の構築などは、おおむね計画通りに進んでいる。今後は重合酵素の改変と生合成系の補強に注力する。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、重合酵素の改変と生合成系の補強に注力して、ケイ皮酸ポリマーの効率的な生産宿主の構築に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的に研究費の使用ができたため、変異導入実験を翌年に行うこととした。次年度は、おもに物品費として使用する。また、生合成系の強化として、遺伝子の人工合成を行い、効率的に実験を進める。
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