2013 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス資源から芳香族ポリマーを発酵生産する微生物の育種
Project/Area Number |
23658271
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柘植 丈治 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70332260)
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Keywords | バイオマス / ポリヒドロキシアルカン酸 / フェニルアラニン / ケイ皮酸 |
Research Abstract |
本提案課題では、糖類などのバイオマス資源から芳香族ポリマーを効率的に生産する微生物の育種を行う。ここでいう芳香族ポリマーとは、ケイ皮酸誘導体を構成ユニットとするポリエステルのことであり、代謝系構築から生成物回収までを視野に入れた、全く新しい統合的な生産システムの開発を目指した基礎的研究に取り組む。この研究により、バイオマス資源から芳香族化合物を効率的に生産する技術開発を行うとともに、芳香族モノマーを取り込んだポリエステルの物性解析を目的とする。 最終年度は、Ralstonia eutrophaの組換え株を用いて、芳香族ポリマーの合成・蓄積を試みた。フェニルアラニンおよびその構造類似体を前駆体として培地に加え、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸(3H3PhP)がポリエステルの構成モノマーとして取り込まれるかを検討した。その結果、フェニルアラニンから3H3PhPの取り込みは確認できなかったが、桂皮酸などからは3H3PhPが取り込まれたポリエステルが合成された。詳細に構造を調べるために、ポリエステルを精製し、NMR分析および熱分析に供した。その結果、NMR解析により3H3PhPがポリマーに取り込まれている確実な証拠を得、3H3PhPの導入に伴いポリエステルの結晶性が低下していることを確認した。一方で、フェニルアラニンを過剰合成する大腸菌に、3H3PhPまでの供給代謝系を構築することも並行して検討を行ったが、現時点では、ポリエステル中への3H3PhPの取り込みを確認できていない。この原因として、3H3PhP供給系が弱いことが考えられ、継続して改善を試みる予定である。
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