2012 Fiscal Year Annual Research Report
中性エステルを用いた油脂からの新規な超臨界バイオディーゼル製造の試み
Project/Area Number |
23658273
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂 志朗 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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Keywords | 油脂 / 超臨界中性エステル / 炭酸ジメチル / バイオディーゼル / グリセロールカーボネート |
Research Abstract |
化石資源の枯渇や地球環境問題が懸念されるなか、バイオディーゼル(BDF)利用の普及促進への取組が世界的に行われている。今後さらなる普及のためには、廃油脂や油脂資源からの高品位BDF製造技術の確立が重要である。そこで平成23年度には、メタノールに代わる中性エステルとして超臨界炭酸ジメチル(臨界点;Tc=275℃、Pc=4.6MPa)を用いた一段階無触媒BDF製造プロセスについて検討した。その結果、350℃/20MPa/12分の反応条件で原料油脂が脂肪酸メチルエステル(FAME)に変換され、高付加価値のグリセロールカーボネート及びシトラマル酸が副生成物として得られることを明らかにした。しかしこの一段階プロセスは高温・高圧条件が不可欠で、不飽和脂肪酸の熱分解を招く。そこで平成24年度においては、超臨界炭酸ジメチルを用いた二段階無触媒BDF製造プロセスの処理条件を検討した。一段階目では、270℃/27MPa/25分の条件で油脂を亜臨界水処理して脂肪酸とし、二段階目では300℃/9MPa/15分の条件で脂肪酸を超臨界炭酸ジメチル処理してFAME(収率97%)とする最適条件を明らかにした。また、得られたFAMEは、日本、米国及びEUでの燃料品質規格を満足することも明らかにした。一段階目で得られたグリセリンは別途、超臨界炭酸ジメチルと反応させ、付加価値の高いグリセロールカーボネートへと変換しうることも見出した。このように超臨界炭酸ジメチルを用いたBDF製造プロセスでは、本来の目的物FAMEを製造するのみならず、同時に有用なケミカルスをも生産し得ることが判明した。炭酸ジメチル以外の炭酸ジアルキルエステルについても検討し、種々の脂肪酸アルキルエステルが得られることを明らかにした。これら一連の研究結果から、世界初の炭酸ジアルキルを用いた無触媒超臨界法によるBDFの製造法が確立された。
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