2012 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースナノファイバー高度利用のための高分子付加による配向性の向上
Project/Area Number |
23658275
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 幸敬 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (70211878)
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Keywords | バイオマス / ナノ材料 / 廃棄物再資源化 |
Research Abstract |
地球全体の炭素資源のサイクルを考えたとき,木質系バイオマスの有効利用法を開発することは科学の使命である。木質系バイオマスの有効利用法として,エネルギー化や有価材料化が検討されているが,より付加価値の高い材料開発が求められている。本研究では,セルロース由来の付加価値の高い材料開発として,セルロースナノファイバーに疎水性および親水性高分子を付加し,配向性が向上した直鎖状分子の調製を目指した。その調製戦略として,グルコースの1位の炭素に,疎水性の高分子とてポリ乳酸を,あるいは親水性の高分子としてメトキシポリエチレングリコール(PEG)を付加した化合物を調製し,イオン液体中においてβ-グリコシダーゼの転移反応を利用してセルロースの還元末端に化合物を付加させることを計画した。まず,疎水性のポリ乳酸をグルコースの1位に直鎖状に付加するために,種々の検討を行ったが,アルカリ感受性のあるポリ乳酸を維持するためには,弱酸で解離できる保護基で1位以外のOH基を保護する必要があることが明らかとなった。そこで,δ-グルコノラクトンにメトキシメチル基(MOM基)を付加し,1位以外のOH基を保護した。1位を還元し,1位のみがOH基となったMOMグルコースを調製できた。各ステップの生成物はNMRで確認した。次に,親水性のPEGを付加した直鎖状化合物調製のために,出発物質として2,3,4,6-テトラベンゾイルα-グルコシルブロマイドを用いてPEGを1位に付加した。次に弱アルカリ条件下でベンゾイル基を脱離させ,グルコースの1位に直鎖状のPEGが付加した化合物を得た。各ステップの生成物はNMRおよびゲルクロマトグラフィーで確認した。本挑戦課題の最終産物である高分子を付加したセルロースを合成するには至らなかったが,最終目的にいたる中間体の合成法を確立した。
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