2011 Fiscal Year Research-status Report
耐塩性嫌気性細菌と好塩性植物を利用した塩害土壌のハイブリッド修復
Project/Area Number |
23658278
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
安井 英斉 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70515329)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | メタン発酵 / 固液分離 / 汚泥濃縮 |
Research Abstract |
アジア内陸地域で自生する代表的な好塩性植物(Kalidium caspicum,Climacoptera lanata, Salicornia europaea)の元素組成を分析するとともに、予備的に嫌気的生物分解度合いを調べた。これに基づき、乾燥牧草と食塩を用いてラボ実験用の模擬試料(78g-NaCl/kg-湿重, 178g-TVS/kg-湿重)を調整し、中温(35度)と高温(55度)の2条件で4.5kgCOD/m3/dの槽負荷でケモスタットの連続運転を行った。これらの条件で投入の模擬試料有機物は徐々に分解されはじめたが、いずれのリアクターにおいても数千mg/Lの溶解性TOC成分と1000-2000mgCOD/Lの低級脂肪酸(プロピオン酸と酢酸)が残留した。このことからリアクター内の微生物量が律速になっていると考え、ケモスタットの運転を止め、処理液を固液分離して微生物を含有する汚泥をリアクターに返送するようにした。この操作によって低級脂肪酸の濃度は当初の1/2ほどに低下した。一方で、数千mg/Lの溶解性TOC成分はほとんど減少しなかった。 別の回分実験によってこの溶解性TOC成分はすみやかに生物分解されたことから、本成分が残留する原因は、植物の固形有機物を可溶化する反応速度と可溶化物の分解速度のアンバランスによるものと推定された。一般に固形有機物の可溶化速度は固形物の濃度に比例するため、槽負荷を半分以下に下げて槽内の固形物濃度を低く維持するよう運転条件を変更した。この改良操作によって溶解性TOC濃度は数百mg/Lに低下した。このときのリアクターからのメタン生成速度は1-1.2 kgCOD/m3/dであり、運転条件を最適化すれば生成は更に増えるものと予想された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海水の2倍以上(78g-NaCl/kg-湿重)である高濃度の塩を含有する有機物を原料としても、プロセスフローを工夫することで一般的なメタン発酵の性能(1-1.2 kgCOD/m3/dのメタン生成速度)を得ることができた。本フローは研究計画段階で想定したものであり、予想通りの成果が得られたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
メタン発酵実験のデータをもとに、植物体の嫌気的有機物分解反応を表す数学モデルの構築を進める。これにより、反応の律速段階に関する考察を理論化し、知見を性能向上の実験にフィードバックする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
メタン発酵の連続実験を継続し、プロセスシミュレータによってデータを再現可能な数学モデル構造を構築する。また、これらによって予想した開発プロセスの適用性能をもとに、土壌の塩害が顕在化しているアジア内陸部の諸機関に対して研究成果の学術発表を行う。これにより、本萌芽研究の成果をニーズを有する機関と共有化し、国際共同研究をはじめとする次の開発ステージにつなげる。
|
Research Products
(3 results)