2012 Fiscal Year Annual Research Report
耐塩性嫌気性細菌と好塩性植物を利用した塩害土壌のハイブリッド修復
Project/Area Number |
23658278
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
安井 英斉 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70515329)
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Keywords | 塩害土壌 / 植物修復 / メタン発酵 / 数学モデル / ウズベキスタン / 好塩性植物 / 気候変動 / 灌漑 |
Research Abstract |
粉砕したギニアグラスに食塩を添加した試料(158 g-COD/kg-wet biomass, 70g-NaCl/kg-wet biomass)を模擬好塩性植物バイオマスとし、中温条件(35度)の連続実験を200日以上に亘って実施した。COD基準の物質収支によれば、投入した植物バイオマスのおよそ67%は本プロセスによってメタンに転換されていた。ただし、これらのほとんどは初期の立ち上げ時における回分条件で分解されており、連続条件に切り替えてからのメタン転換は50%ほどに留まった。これは、バイオマスの比分解速度が低いことによると考えられる。 槽負荷を一時的に上昇させた時期を除き、約2.0kg/m3/dの典型的な槽負荷条件下であっても槽内の低級脂肪酸濃度は15 mg/COD/L程度に留まった。このことから、海水の2倍ほどの高塩濃度条件下でも嫌気性微生物群は実用化に充分な速度で低級脂肪酸から酢酸や水素を経由してメタンを生成できることが明らかになった。 これら一連の反応を定量的に把握するために、国際水協会(IWA)の嫌気性消化モデルNo.1 (ADM1)を改変し、植物バイオマスの分解モデルを作成した。糖・蛋白質・脂質・不活性有機物を出発点とするADM1において、生物分解成分の微細化に伴うリグニンの溶解反応を追加し、メタン生成・槽内VSS濃度・溶解性TOC成分などの挙動に着目して反応の動力学定数を求めた。この結果、一般的な下水汚泥のメタン発酵におけるメタン生成古細菌よりも本条件下ではかなり比増殖速度が低くなっていると推定された。 また、ウズベキスタン国立大学の協力により、ウズベキスタンのブハラ地方に生育する野生の好塩性植物30種をサンプリングすることかできた。現在、これら植物の化学分析を進めており、将来の研究用データベースに反映される予定である。
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Research Products
(4 results)