2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658283
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
深水 昭吉 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60199172)
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Keywords | 線虫 / アルギニンメチル化酵素 / 寿命 / prmt-1 / daf-16 / daf-12 |
Research Abstract |
平成24年度も引き続き、従来の遺伝学的手法と生化学的手法を組み合わせ、線虫を生体材料として、タンパク質の翻訳後修飾の一つであるアルギニン残基の非対称的なジメチル化反応の寿命機構を解明することを目的とした。 各種変異体を用いた遺伝学・生化学的解析 N2(野生型)、prmt-1(ok2710)、daf-2(e1370)、daf-2(e1370); prmt-1(ok2710)、daf-2(e1368)、及びdaf-2(e1368); prmt-1(ok2710)を用い、定法に従って寿命を測定した。daf-2(e1370)変異体はキナーゼドメイン中に点変異を有し、リガンドドメイン中に点変異を有するdaf-2(e1368)変異体よりも強い表現型を示す。このことから、daf-2(e1370)変異体はdaf-2(e1368)変異体よりも、下流因子のリン酸化やシグナル伝達が減弱しているとされている。そこで、daf-2(e1370); prmt-1(ok2710)とdaf-2(e1368); prmt-1(ok2710)の二重変異体を作製した。寿命測定を行った結果、prmt-1の欠損は、daf-2(e1368)変異体の寿命を短縮させるのに対し、daf-2(e1370)の寿命を短縮させなかった。これらの結果から、daf-2(e1368)変異体ではPRMT-1が関与するDAF-2からDAF-16へのシグナル経路が寿命制御に重要であることが示唆された。一方、daf-2(e1370)変異体では、PRMT-1の作用を含むシグナル経路が既にシャットダウンされていることが予想された。 PRMT-1のノックアウトマウスは胎生致死であることから、その個体機能は未解明であった。本研究では、PRMT-1が“抗老化”機能を有することを、微小多細胞生物・線虫を用いて明らかにし、アルギニンメチル化の重要性を示した。
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