2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神崎 亮平 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40221907)
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Keywords | 昆虫 / 生体材料 / バイオセンサ / 嗅覚受容体 / マイクロ流路チップ |
Research Abstract |
既存の工学技術に基づく匂いセンサは検出感度・識別の点で課題がある。一方昆虫は、触角で機能する嗅覚受容体によって環境中の様々な匂い物質を高感度に検出する。本研究は、遺伝子工学技術及び微細加工技術を融合し、昆虫の嗅覚受容体を発現させたSf21細胞をマイクロ流路チップ上に並列配置することで、高感度に様々な匂い物質を検出できる匂いセンサ構築技術の確立を目的とする。嗅覚受容体発現細胞を並列配置した匂いセンサの構築を目指して、①匂い検出素子の構築、②センサチップの構築、③匂いセンサの機能評価を実施した。 ①平成24年度に課題であった、受容体発現Sf21細胞における一般臭に対する蛍光応答のS/Nの向上のため、平成25年度では遺伝子導入する発現ベクターを改良し、一般臭をS/N良く検出し蛍光強度変化を示すSf21細胞を作出した。作出したSf21細胞は、導入した嗅覚受容体が応答する一般臭に、1microM以下の検出閾値で蛍光強度変化を示した。これにより、一般臭を効率的に検出できるSf21細胞の作出技術を確立した。 ②ソフトリソグラフィ技術により、異なる2本の流路に250msec以内の誤差範囲内で刺激物質を供給できるマイクロ流路チップを試作した。試作したマイクロ流路チップの2本の流路にそれぞれ異なるSf21細胞系統を導入することで、2種類のSf21細胞系統の蛍光応答を取得できることを示した。 ③昆虫嗅覚受容体として性フェロモン受容体を発現する2種類のSf21細胞系統を、②で試作したマイクロ流路チップ上に並列配置することで匂いセンサチップを構築した。構築した匂いセンサチップに受容体が応答するフェロモン成分を供給すると、細胞系統の蛍光応答が取得できることを示した。これにより、複数種類の細胞系統を並列配置でき、匂い物質に対して細胞系統の蛍光応答が取得できる匂いセンサチップ構築の基礎技術を確立した。
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