2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658292
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20298938)
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Keywords | 分化全能性 / 受精卵 / 初期胚 / リプログラミング / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
分化全能性とは生物個体を形成する200種類以上の細胞に自律的に分化できる能力であり、この能力を持つ細胞は受精卵と一部の初期胚に限られている。しかしながら、受精卵が分化全能性を獲得するメカニズムは、未だ解明されていない。そこで、本研究では分化全能性の制御機構の分子基盤を解明すること目的に、未受精卵・受精卵・初期胚における経時的な差次的プロテオーム解析によって、分化全能性の獲得・維持・喪失と関連すると考えられる時期に発現量が変化するタンパク質を同定し、タンパク質の分子ネットワークに関する基礎的知見の獲得を行った。 平成23年度は、未受精卵・受精卵・初期胚の経時的な差次的プロテオーム解析により発生過程の特徴を示すタンパク質が同定した。さらに、タンパク質発現変化を俯瞰するため、各発生段階で有意な発現変動を示すタンパク質群について、多変量解析(階層クラスタリングおよび主成分分析)やWestern blot解析による各タンパク質の発現と定量性を検証した。平成24年度は、獲得したタンパク質情報から、公共データベース及び酵母two-hybrid systemを用いた相互作用タンパク質を同定し、分化全能性の獲得・維持に関する分子ネットワークに関する基礎的知見を獲得した。具体的には、脱アデニレーション機能を持つnocturninの母性mRNA分解への関与、母性タンパク質分解における初期胚特異的プロテアソーム形成シャペロンZPACの同定、さらに能動的DNA脱メチル化に関与するZGAの同定が挙げられる。 以上から、分化全能性を持つ受精卵が形成されるエピジェネティック・リプログラムに対する母性mRNA分解・母性タンパク質分解の関与機構の存在が認められた。今後、本研究成果として同定された因子が受精卵や初期胚で果たす機能を解明し、受精卵が分化全能性を獲得する分子メカニズムの理解に貢献することが期待できる。
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Research Products
(9 results)