2013 Fiscal Year Annual Research Report
斬新な機能を有すると予測される、ガラクトシクロデキストリンの合成と利用研究
Project/Area Number |
23658293
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清水 弘樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (30344716)
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Keywords | 糖鎖 / シクロデキストリン / 有機化学 |
Research Abstract |
beta1-4Galの環状糖鎖化合物(Gal-CD)は理論的には存在可能で,分子モデリングに依れば分子表面の疎水性が強くなり,通常のシクロデキストリンと反対の性質を示すユニークなものになると予想されている。しかし実際には合成が非常に困難で,未だその化合物は 実在していない。この合成に申請者の有するマイクロ波利用技術を駆使して挑戦し,合成後,基本的な化合物の性質を検証,さらにやはり申請者の有するCDの酵素反応への応用など,反応系への2次利用展開研究を計画した。 平成25年度も引き続きbeta1-4Galの環状糖鎖化合物(Gal-CD)の合成研究に尽力を注いだ。昨年度までに使用可能な保護基,使用不可能な保護基の選定には成功し,引き続きコアとなるシクロデキストリンやカリックスアレンにリンカーを通じてガラクトースユニットを縮合する検討を行った。しかし多量体コア化合物への定量的な縮合反応は,実際の合成もまた合成品の評価も非常に困難であった。現在,合成戦略を見直し,リンカーと介した2糖体Gal-Linker-Glcを調製し,これに対しまずグルコース部を環化縮合させ,その後ガラクトース部を環化縮合させる方針で合成に挑戦している。 この様に,現段階では未だ目的化合物の合成までは至っていない。しかし,元来挑戦的課題として取り組んでいることもあり,また合成品の物性には非常に興味がもたれ,かつ計算化学の結果からはこれまでにないユニークな特性を有することが示唆されていることから新しい産業利用の可能性も有しており,なんとか継続して研究をすすめる機会を得て,今後も本研究を継続的に遂行し続けたい。
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Research Products
(1 results)