2011 Fiscal Year Research-status Report
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23659001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根東 義則 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90162122)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | オニウムアミド / 有機触媒 / 芳香複素環 / 脱プロトン / 分子変換 / ホスファゼニウム / 官能基選択性 / 部位選択性 |
Research Abstract |
平成23年度はオニウムアミドを用いる脱プロトン化反応について基礎的な素反応開拓を行った。まず種々のジアルキルアミノケイ素化体に対して種々のフッ化物イオンを作用させてアミドアニオンの発生を検討した。フッ化物イオンとしてアンモニウムあるいはホスホニウムを用いることにより、これまであまり知られていなかったオニウムアミド誘導体の調製が可能となった。その構造についての研究はこれまでほとんど行われていないので、この構造化学研究を各種スペクトルを用いて解析し新たな反応種の発生を確認した。また反応開発においてもアミドアニオンの生成については各核種NMRスペクトルでモニターを試みた。末端アルキンの脱プロトン化修飾反応を用いて生成するアミドアニオンの脱プロトン化剤としての評価を行いその実用性を明らかにした。当量反応で評価を行った後、活性化剤であるフッ化物の量を触媒量として脱プロトン化-修飾反応を検討し、さらにその触媒効率の向上を図ることができた。フェニルアセチレンの場合にはフッ化物の当量が1mol%でも反応が円滑に進行することを予試験的に明らかにしていたが、この反応の一般性を様々な置換アルキン類を用いて明らかにした。さらにこの触媒反応を芳香族化合物の環プロトンの脱プロトン化-修飾反応への適用を検討し、アゾール類などの芳香複素環や電子求引性の置換基を有する芳香族化合物について幅広く適用可能であることを見出した。環内窒素あるいは官能基に配位する金属カチオンを含まないので反応は環上の最も酸性度の高い部位において進行することも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の研究計画に従い実験を進めおおむね予定通りに進展していると考えられる。これまで有機合成に用いられていなかったオニウムアミドを利用することが可能であることを明らかにし、また脱プロトン化剤として優れており、従来の金属性試薬と相補的に用いることができることを示した。触媒反応の開発を行うための基礎を確立できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行った基礎的な検討をもとに、新しい芳香族脱プロトン化反応を用いる触媒反応の開発を行う。反応の部位選択性については従来の有機金属試薬と大きく異なることが期待され、また官能基共存についても幅広く許容されることが期待される。芳香環の脱プロトン化のみならず、ある程度の酸性度を有する脂肪族の脱プロトン修飾反応の開発を行い、特に医薬品開発において重要である芳香族複素環化合物の修飾について自由度の拡大をはかる。次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度とほぼ同様に主たる研究史は、物品費、旅費等であり、とくに備品の購入は計画しておらず物品費は有機試薬、無機試薬、ガラス器具、有機溶媒などの消耗品である。
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Research Products
(4 results)