2012 Fiscal Year Annual Research Report
共役性電子求引基の隣接位におけるキラルカルバニオンの発生と捕捉
Project/Area Number |
23659007
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 敬 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (30135032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 道子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (30379888)
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Keywords | 有機合成 / 合成化学 / キラルカルバニオン / 不斉合成 / アミノ酸 |
Research Abstract |
前年度までにカルバモイル基がキラルカルバニオンのラセミ化を抑制するために極めて有効であり,光学活性ニトリルカルバニオンを発生させ求電子剤で捕捉可能であることが明らかになったので,本年度はカルバモイルオキシ基をウレイド基に置換した基質を検討した.ウレイド基は,DMPUがHMPAの代替試薬として用いられることからも分かるように高いキレーション能を有することが予測され,また,原料がアミノ酸から容易に合成可能であるという利点がある.フェニルアラニンから誘導した基質を用いて反応を検討したところ,THF中-100 °Cにおいて塩化ベンゾイル存在下LDAで処理した場合,81%,er = 96:4で立体反転成績体が得られた.興味深いことに,塩基として,LiHMDS, NaHMDS, KHMDSを用いた場合には立体保持成績体が得られた. これはNaHMDSなどの塩基性が弱い塩基を用い場合,塩化ベンゾイルが塩基に配位しながら脱プロトン化が進行するためと考えており,計算化学によってもそれを裏付ける結果が得られている. また,共役性電子求引基に隣接するキラルカルバニオンの立体化学的安定性の定量的評価法を開発する目的で,種々の電子求引基を有するα-シリルアルコールのSE2’プロトン化反応を検討した.その結果,(1) カルバモイルオキシ誘導体とシロキシ誘導体では反応機構が異なること,(2) カルバモイルオキシ基を有する基質では,電子求引基のα位にカルバニオンが発生している可能性が高いことが明らかになった.そこで,カルバモイルオキシ誘導体を用いて電子求引基が隣接位のカルバニオンのラセミ化の程度に与える影響を比較したところ,以下の序列でカルバニオンがラセミ化しやすいことがわかった.C(O)Ph > CO2Et > CONMe2 > CN > P(O)(OEt) 2 > SO3p-Tol.
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