2011 Fiscal Year Annual Research Report
前例の全く無いスルホンアミドのHofmann転位反応の開発
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23659008
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50127065)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | Hofmann転位 / 臭素 / 超原子価 / 脱離基 / スルホンアミド / スルファモイル / 置換基効果 / ナイトレン |
Research Abstract |
1)ベンゼンスルホンアミドのHofmann転位反応の開発:ジフルオロ-λ3-ブロマンを用いたベンゼンスルホンアミドのHofmann転位反応を詳細に検討し、フッ化スルファモイルを生成する最適反応条件を決定することに成功した。既に、反応溶媒をアセトニトリルからベンゼンに変えると、フッ化スルファモイルの収率が大幅に向上することも見出しつつあったが、同時に副反応も出現してしまう。そこで、本副反応を抑えるために、反応溶媒として、電子求引性置換基を導入したベンゼン誘導体の使用について検討したところ、無置換ベンゼンが最適溶媒であることが明らかとなった。 2)スルホンアミドのHofmann転位反応の一般性を解明:芳香族スルホンアミドのHofmann転位反応の一般性・適用範囲について明らかにした。電子供与基やハロゲンを導入した芳香族スルホンアミドのHofmann転位反応は効率良く進行した。ところが、強力な電子求引基であるニトロ基や2個のCF3基の導入は、フェニル基の1,2-転位能を大幅に減少させてしまうため、Hofmann転位反応が進行しなくなることが明らかとなった。オルト位への置換基の導入は、パラ位異性体と比べるとエントロピーの減少を伴うため、カルボン酸アミドのHofmann転位反応が加速されることが知られている。今回開発した芳香族スルホンアミドのHofmann転位反応においても、オルト置換基のエントロピーの効果が有効に作用することが明らかとなった。なお、脂肪族スルホンアミドのHofmann転位反応は現在のところ観察されていない。転位能の差が反映された結果であろう。 3)反応機構:ジフルオロブロマンを用いたベンゼンスルホンアミドのHofmann転位の反応機構を解明することに成功した。フッ化スルファモイルの生成機構としては、Hofmann転位機構以外に、ナイトレンが関与する反応機構も考慮する必要がある。最初に生成する中間体スルホンアミド-λ3-ブロマンが、三価の臭素置換基の大きな超脱離能のためにα-脱離を引き起こしてナイトレンが生成した後、フェニル基が1,2-シフトして、N-スルホニルアミンを生成するナイトレン経路も可能である。そこで、Hofmann転位機構と上記ナイトレン経路とを区別するために、テトラメチルベンゼンスルホンアミドとの反応を行い、生成物を詳細に解析したところ、スルタムの生成を検出することはできなかった。上記結果から、ジフルオロブロマンを用いたベンゼンスルホンアミドのHofmann転位反応にナイトレンは関与していないことが明らかとなった。
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Research Products
(18 results)