2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659012
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 孝禎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90372838)
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Keywords | 水素結合 / タンパク質 / リガンド |
Research Abstract |
本研究では、医薬品―タンパク質複合体のX線結晶構造の調査、およびN+-CH-O水素結合を利用した酵素阻害薬の設計・合成・評価を行いその重要性を示すことを試みた。 まず、アミン構造を含む生物活性物質の中から、Protein Data Bank(PDB)でタンパク質とのX線共結晶があるものを選出し、アンモニウムカチオンに隣接するCH結合の水素原子とタンパク質アミノ酸残基の酸素原子との距離が水素原子と酸素原子のファンデルワールス半径の和である2.72Aより短いものがあるかどうかを調査し、その結果、300のX線結晶構造中160の例で短いCH-O距離が見られ、CH-O水素結合の存在が示唆された。 つぎに、上記の調査の中で見られた短いCH-O距離の例の一つであるG9a-like protein (GLP)とその阻害薬の複合体に着目し、N+-CH-O水素結合が実際に生物活性に寄与するかどうかを調べた。GLP阻害薬のジメチルアミノ基の窒素原子に隣接するCH基がAsp1131とCH-O水素結合を形成していることがX線結晶構造解析により示唆されたことから、GLPとのGLP阻害薬の認識にCH-O水素結合が重要であることを実験的に示すために、GLP阻害薬のジメチルアミノ基をメチルアミノ基とした化合物、アミノ基とした化合物、CH-O水素結合に陽電荷が重要であることを示すためにイソプロピル基とした化合物を設計・合成・GLP阻害活性評価を行った。その結果、N+-CH基の数が減るに従い、GLP阻害活性の低下がみられた。また、陽電荷をなくした化合物では大きく活性が低下する結果となった。 また、CH-O距離が2.72Aより長くCH-O水素結合が見られないTie2阻害薬について上記と同様の実験を行ったが、N+-CH基の数と生物活性には相関は無かった。 以上の結果、タンパク質と阻害薬間でCH-O水素結合が重要であることが示唆された。
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