2011 Fiscal Year Research-status Report
自己組織的につくられる規則的ナノ構造によるナノ物質の選択的な捕捉・濃縮・分離
Project/Area Number |
23659018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 大 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30332943)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ゲル / 電気泳動 / ナノ孔 / 生体物質 / アミノ酸 / ペプチド / タンパク質 / ヘキサゴナル |
Research Abstract |
タンパク質、病原性ウイルス、環境中ナノ粒子など、ナノメートルサイズの物質(ナノ物質)への興味が最近、急激に高まっている。しかしナノ物質の大きさに適合したフィルターが存在しないため、それらの前処理法や分析法で汎用的な手法は確立されていない。近年、急速にナノテクノロジーが進展し、微細加工技術などを用いたトップダウン法、もしくは物質の自己組織化反応などを利用したボトムアップ法によって規則的なナノ構造の調製が可能になっている。我々は、調製が容易であることから規則的なナノ構造をボトムアップ法で調製し、その規則性を利用して生理活性物質(アミノ酸、ペプチド、タンパク質)の分離を試みた。ボトムアップ法によるナノ構造として、界面活性剤として用いたポリオキシエチレンラウリルエーテルが形成するヘキサゴナル構造を利用した。ヘキサゴナル構造とは、円筒構造が六方晶系に配列した構造であり、ナノメートルサイズの穴(ナノ孔)が等間隔に配列している。ポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いて調製したヘキサゴナル構造は、大きさに基づいて生理活性物質を識別することを見出した。 またアルキル鎖長の異なったポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いることで形成される規則的なナノ構造が変化し、またそのナノ構造が形成するナノ孔の大きさも変化することが分かった。今回用いたポリオキシエチレンラウリルエーテルは、水と等量混合することで室温条件で、異なった大きさナノ孔の調製が可能なことからより多くの生体物質への分離への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なった大きさのナノ孔を有するゲルの簡便な調製法を開発し、調製したゲルで生体物質の分離を達成した。11月に山形県鶴岡市で開催されたキャピラリー電気泳動シンポジウムに於いて本成果を発表し、その一部をまとめて論文投稿した。以上より、計画通り、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者に記載した計画を実施する。具体的には、昨年度の検討で明らかになった調製法で、標的物質の大きさに適合したナノ孔を有するゲルを調製し、実試料からの標的物質の選択的な捕捉を試みる。さらにDNA等のタンパク質以外のナノ物質の分離精製への応用も試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験を実施する研究者の雇用、実験に必要な消耗品の購入を計画している。
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