2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリンナノ粒子の多重標的機能を巧妙に利用した画期的関節リウマチ炎治療法の開発
Project/Area Number |
23659022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30243041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋田 泰彦 京都大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (30512462)
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Keywords | ヘパリンナノ粒子 / 関節リウマチ / マクロファージ / 炎症性サイトカイン / TLR-4 |
Research Abstract |
関節リウマチは,進行性の自己免疫疾患で、極度の痛みを伴う患者QOLの極めて悪い疾患である。本研究では、その原因である異常活性化したマクロファージをターゲットとする、ヘパリンを素材とした多機能型ドラッグデリバリーシステムを開発した。ヘパリンあるいは過ヨウ素酸酸化処理したヘパリンに対してスフィンゴシンを縮合し、自己組織化ヘパリンナノ粒子を合成した。LPSあるいはpolyI:polyCで刺激した初代培養マクロファージに対して,合成したヘパリンナノ粒子を作用させた結果,LPSで刺激した方でのみTNF-alphaの産生が有意に抑制された。また,Western blottingにより,LPS刺激によるNF-kappaBの活性化に対してヘパリンナノ粒子が抑制効果を示すことが明らかとなった。これらの結果より,ヘパリンナノ粒子はTLR-4受容体に作用することが示唆された。その効果は,特に過ヨウ素酸酸化処理したヘパリンナノ粒子において顕著であった。II型コラーゲン誘導関節炎モデルマウスを作成し,in vivoでの治療効果を評価した。炎症が進んだ30日後において,調製したヘパリンナノ粒子を膝関節腔内に注射し,足の発赤・浮腫の状態を観察したところ,未処理群に比べて有意に炎症が軽減されることが明らかとなった。また,IkappaB阻害剤TPCA-1をヘパリンナノ粒子に包含させたところ,やや効果が増強される傾向が認められた。一方,炎症部位におけるTNF-alphaの産生についても有意な抑制が観察され,ヘパリンナノ粒子は関節炎治療薬として有望であることが示された。
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