2012 Fiscal Year Annual Research Report
CYP on a Chip~銀チップ電極によるCYPの薬物代謝迅速評価~
Project/Area Number |
23659023
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇野 公之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00183020)
|
Keywords | シトクロムP450 / 酸化還元電位 / 薬物代謝 / 薬剤反応性 |
Research Abstract |
シトクロムP450(CYP)はヒト薬物代謝の中心的役割を演じる重要な酵素であるが、いくつかのアイソフォームがある上に基質特異性がきわめて低いという特徴を持つ。このため、CYPと基質薬物とは多対多の関係にあり、CYPによる薬物代謝の理解をきわめて困難にしている。本研究では、申請者が確立した可溶性ヒトCYPの大量発現系を利用し、1)銀電極表面への活性型CYP固定化、2)電極を用いた酵素活性の評価、という2つのサブテーマを解決する。これらにより、銀チップ電極に固定化したCYPの表面増強共鳴ラマン効果による構造評価と、電極反応を利用したCYPの薬物代謝活性評価を行い、CYPと基質との対応関係を解明するとともに、CYPの構造・活性相関にかかるハイスループット測定系を確立する。 23年度の研究結果により、銀電極は微量の溶存酸素により酸化され、酸化銀を生じてしまうことがわかった。そこで、銀より安定な金電極を用いた実験を平行して行った。銀電極と同様、酸化還元サイクル処理により金電極表面を凹凸化した後、p-メルカプト安息香酸、及びメルカプトウンデカン酸等に浸して電極表面をコーティングした。種々のメルカプト酸を試した結果、メルカプトウンデカン酸とメルカプトウンデカノールの混合溶液を用いたときに、CYP2C9の酸化還元波を測定できることがわかった。しかしながら、ピーク電流が小さかったため、CYP2C9の結合量を増やすべく、電極に共有結合でCYPを固定することを試みた。縮合剤としてEDCを用いた結果、わずかながら改善が見られた。
|