2012 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓特異的siRNAデリバリーシステムの開発および腎線維化遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
23659026
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
森下 義幸 自治医科大学, 医学部, 講師 (30570494)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 腎線維化 / 遺伝子治療 / siRNA |
Research Abstract |
腎線維化を抑制する治療用遺伝子として、in vitroでTGF-β1刺激による培養ヒト尿細管細胞(HK-2細胞)の上皮間葉移行(EMT)を最も強力に抑制するsmad4-siRNAを同定した。続いてライガンドとして尿細管細胞の細胞内への治療用遺伝子取り込み促進作用が期待されるペプチド(peptide:Lys-Lys-Arg-Arg)または25-hydroxy vitamin D(25OHD3)をsmad4-siRNAに付加した複合体(peptide-smad4-siRNA、25OHD3-smad4-siRNA)を作成した。次にTGF-β1で刺激したHK-2細胞でpeptide-smad4siRNAおよび25OHD3-smad4-siRNAのsmad4遺伝子の抑制効果を検討した。その結果、TGF-β1で刺激したHK-2細胞ではpeptide-smad4-siRNAで有効なsmad4遺伝子抑制効果が認められた。25OHD3-smad4-siRNAでは有効なsmad4遺伝子抑制は認められなかった。次にin vivoの検討として、葉酸腹腔内投与により腎線維化を誘導した腎線維化モデルマウスにpeptide-smad4-siRNA, 25OHD3-smad4-siRNAおよび未修飾smad4-siRNAを週3回3週間、尾静脈より経静脈的に投与し、腎線維化抑制効果を検討した。その結果、未修飾smad4-siRNA投与群で最も高いsmad4遺伝子抑制が認められ、腎線維化が抑制された。さらにこのsmad4-siRNA投与による腎線維化抑制の機序として、もともと間質に少量存在していた線維芽細胞の増殖抑制に加え、尿細管上皮細胞ではなく血管内皮細胞、白血球、腎微小血管に存在するpericyte由来の線維芽細胞の増殖抑制が示唆された。
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