2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659027
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梶本 和昭 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任准教授 (10416216)
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Keywords | 細胞・組織 / 遺伝子 / マイクロアレイ / 褐色脂肪細胞 |
Research Abstract |
本研究では、「褐色脂肪組織の機能亢進時に生じる組織肥大が、成熟褐色脂肪細胞の増殖による細胞数の増加によってもたらされる」という作業仮説に基づき、生体内における褐色脂肪組織の立体構造を保持した状態で培養できる新たな組織培養法を確立して、成熟褐色脂肪細胞の増殖能をリアルタイムに可視化するとともに、 褐色脂肪組織における寒冷馴化に伴う遺伝子発現変動と、生後発達に伴う遺伝子発現変動を網羅的に解析して比較することで、褐色脂肪組織の肥大化を誘発する鍵因子を同定し、その分子メカニズムを遺伝子レベルで解明することを目的とする。 平成23年度には、コラーゲンゲルを用いた三次元的組織片培養法およびメンブレンフィルターを用いた気-液界面における組織スライス培養法を応用し、BATの組織培養法を確立し、共焦点レーザースキャン顕微鏡(CLSM)を用いた培養組織のリアルタイム観察により、組織を固定することなく組織中の成熟褐色脂肪細胞を生きたまま可視化する手法を確立した。この手法により、褐色脂肪組織だけでなく白色脂肪組織のリアルタイム観察も可能になった。 平成24年度には、上記の生組織観察法を用いて、成熟褐色脂肪細胞が分裂・増殖する様子を捉えるための検討を種々試みたが、少なくとも検討に用いた条件下では、成熟褐色脂肪細胞の分裂はおろか運動する様子も観察されなかった。そこで、細胞レベルでの検討に方針を変更し、単離した褐色脂肪細胞における遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイにより網羅的に解析したところ、成熟褐色脂肪細胞では、前駆細胞と比べて細胞周期や分裂・増殖の制御に関連する多数の遺伝子において発現レベルが顕著に低下していることが判明した。これらの結果から、褐色脂肪組織の機能亢進時に生じる組織肥大は、成熟褐色脂肪細胞の増殖による細胞数の増加よりも、前駆細胞の増殖・分化による寄与が大きいことを強く示唆された。
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Research Products
(2 results)