2012 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光プローブによる計測系とモデル化による脂肪酸受容体制御機構の解明と創薬への応用
Project/Area Number |
23659038
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平澤 明 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70242633)
|
Keywords | 脂肪酸受容体 / GPR40 / GPR120 / 蛍光プローブ / 肥満 / シミュレーション |
Research Abstract |
我々がリガンド探索に成功したGPR120含むGタンパク質共役型受容体型(GPCR)脂肪酸受容体は、代謝調節に重要な役割をはたすことが明らかとなりつつ有り、糖尿病、肥満などの疾患の創薬ターゲットとして活発に研究が進められている。これらの受容体に対して、特異性を有する新規化合物の創出は創薬応用研究上重要な意義を持つ。本研究課題では、1) 受容体分子のモデリングとそれを用いた受容体選択的化合物の創出と、2)数理モデルを用いた受容体機能の個体レベルでの解明を主な目標とした。分子レベルでのモデリングとして、GPR120および、GPR40に対して受容体とリガンドの相互作用について、ドッキングシミュレーション系を確立し結合エネルギーの計算を行い、実際の受容体活性化の指標としてERKのリン酸化実験の結果との相関を検証した。GPR40、GPR120ともに結合エネルギー計算の結果から、ERKの活性化の程度を予測することが可能であり、この計算結果を元にそれぞれの受容体選択性を有する化合物を探索できるシステムを構築し、GPR40に対して高い選択性を有する新規化合物を見出した(Britsh J Pharmacol 2013)。さらに、これらの化合物と受容体の直接の相互作用の検出のため、蛍光プローブを用いた結合実験系での検証にも成功した。現在までに得られているGPR120選択的な化合物を、in vivoでGPR120遺伝子欠損マウスへ投与する実験を行い、GPR120の生理機能のより詳細な解明を行った。さらに、マイクロアレイ解析などの網羅的発現解析の結果も合わせて、GPR120が、食餌性の肥満に関与することを明らかにした(Nature 2012)。脂肪酸受容体の詳細な生理機能の解明と特異的な化合物の発見とは、これをターゲットとした医薬品開発への大きな貢献が今後期待される。
|
Research Products
(10 results)