2012 Fiscal Year Annual Research Report
形質膜での脂質の非対称分布を制御するフリップ・フロップの分子機構の解析
Project/Area Number |
23659047
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷川 顕子(山路顕子) 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 専任研究員 (20332314)
|
Keywords | 脂質動態 / フリップ・フロップ / ホスファチジルセリン |
Research Abstract |
細胞形質膜における脂質分布は内外層で非対称であり、ホスファチジルセリン(PS)などのアミノリン脂質は通常は内層に局在し、さらに細胞内外の状況に応じてその分布は劇的に変化することが知られている。このようなリン脂質の特徴的な細胞内動態には、脂質をエネルギー依存的に脂質二重層を横切らせるフリップ・フロップ機構が働いていると考えられているが、脂質の移行メカニズムや活性調節機構などの詳細な分子機構は明らかになっていない。本研究では、申請者がこれまでに行ってきた形質膜におけるPSの動態に異常がある培養細胞変異株の解析結果を足掛かりにして、フリップ・フロップ機構に関わる分子の同定および機能解析を行うことにより、フリップ・フロップの制御機構や細胞機能との関連を解明することを目的としている。 これまでに、フリップ・フロップの欠損株と考えられる変異株の責任因子として、あるアダプター蛋白質を同定している。RNAi実験などから、このアダプター蛋白質がフリップ・フロップの調節因子として働く可能性が示唆されたので、これと協調的に働き且つ直接的に脂質分子に作用する分子の同定を試みてきた。様々なアプローチを行ったが、残念ながら分子同定には至らなかった。また、フリップ・フロップに関わるシグナル伝達経路を明らかにする目的で、Raf, Aktなどの発現やリン酸化・その他の蛋白質のチロシン・セリン・スレオニンのリン酸化と脂質動態との関連性などを解析したが、いずれも関与は認められなかった。欠損株では、脂質動態異常の他にも異常形質が観察されており、それらの関連性について引き続き解析を進めている。
|
Research Products
(1 results)