2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギー物質を利用する細胞破壊型殺癌剤の開発
Project/Area Number |
23659052
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293302)
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Keywords | フッ素 / フタロシアニン / 抗がん剤 / 色素 / 光 / テトラゾール |
Research Abstract |
昨年度に合成したテトラゾール縮合型TEFOフタロシアニンを用いたin vitroの細胞試験を行った。2.0×104個のメラノーマ癌細胞B16F10に対し,本化合物のDMSO溶液を4時間曝露させ,続いて一定の波長の光を40分間照射することにより,癌細胞が死滅するかどうかを調べた。MTTアッセイによって細胞の生存率を調べたところ, 660 nmの光を当てた時に細胞数が大きく減少しており,強い細胞毒性を示すことが判明した。光照射時と非照射時の細胞生存率を比べたところ,光を当てた際,約8割の細胞が死滅する結果となったが,非照射時において細胞死滅数は0であり,高い選択性を示した。また本化合物の阻害率50は2.00 μMとなり高い活性を持つことが判明した。 更なる知見を得るため,光照射によるテトラゾール分解実験を行った。本化合物を酢酸エチルに溶解し,四面平方石英セルにいれ,キセノンランプを用いて光を照射した。光照射30分で,緑色を呈していた溶液が退色し,完全に分解している様子が確認された。この実験から細胞内で光を当てることにより,窒素ガスが発生していることが示唆される。また本化合物の溶液中での物性を調べるため可視紫外吸収スペクトルと蛍光スペクトルを測定した。ジメチルスルホキシド溶媒中においてQ帯と呼ばれるシャープな吸収帯を示した。この吸収帯は配位性溶媒であるピリジンを添加しても,形状に変化がなかったことから。溶液中で会合状態を作っていないことが示唆される。650nmの光を当てて蛍光を測定したところ,720nmの光を発し,その蛍光量子収率は0.15となった。
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