2011 Fiscal Year Research-status Report
高選択的速度論支配ペプチド結合形成反応を基盤とするタンパク質化学合成法の開拓
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23659055
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大高 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20201973)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 速度論支配 / チオエステル / Native Chemical Ligation / タンパク質合成 / ペプチド合成 |
Research Abstract |
本年度は速度論支配ペプチド結合形成反応の開発を行った。Native Chemical Ligation (NCL)法を基盤とし、チオエステル等価体の開発研究という観点から検討を進めた。具体的には、Fmoc法において安定に合成できるチオエステル等価体として開発してきたN-Sulfanylethylanilide (SEAlide) peptideがリン酸塩存在下においてのみNCL反応に関与できるという知見を見出した。そこで、同一反応溶液中でペプチドチオエステルとN末端Cys SEAlide peptide間の第一段階目のNCL反応をリン酸塩非存在下で行い、次いでこの反応溶液に別のN末端Cys peptideとリン酸塩を加え、SEAlide部分をチオエステルとして機能させ、第2段階目のNCL反応を行わせるという手法を開発した。本手法を利用することで、同一反応溶液中で3つのペプチドフラグメントを順次、高選択的に縮合することが可能となった。本法はKentらにより開発された速度論的手法の一つであるKCL反応よりもはるかに速度論的選択性に優れ、KCL法では合成困難であったようなpeptideの合成も可能となった。また、KCL反応と組み合わせることで、従来報告例がなったOne-pot/four-segment ligationが初めて可能となった。これは、本法の優れた速度論的選択性に起因するものである。現在、速度論的支配をdualで達成するdual-kinetically-controlled NCL法の開発を進めている。さらにSEAlide peptideがリン酸塩のような酸塩基触媒存在下チオエステルとして機能することに着目したChemical Biology的応用展開も手掛けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リン酸塩の有無によって、開発してきたSEAlide peptideの反応性が制御でき、速度論的NCL反応おいて極めて有効な反応ユニットであることを見出したので、当初の予想以上に研究が順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
高選択的速度論的ペプチド結合形成反応の基盤形成は、初年度において確立することができたので、今後は実際のタンパク質合成へ応用展開する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度については研究が予想以上に順調に進展した。そのため当初予定していた研究費をすべて使うことなく23年度における目標を達成することができた。次年度については繰り越した研究費を有効利用し、当初の研究計画以上の成果を目指す予定である。具体的には単にタンパク質合成に挑戦するのみならず、生物学的実験も必要とされるChemical Biology的展開を目指す予定である。
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Research Products
(38 results)