2011 Fiscal Year Research-status Report
新規二元性脳保護DAMPの戦略的受容体標的化合物スクリーニング
Project/Area Number |
23659056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
植田 弘師 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00145674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 隼人 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20437833)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | DAMPs / 生理活性物質 / 受容体 / 神経創薬 / スクリーニング |
Research Abstract |
本研究は、ストレス誘発性に細胞外に遊離する脳保護性の新規DAMPsであるプロサイモシンαの (ProTα)の受容体に対する作用分子の同定を行う。化合物ライブラリーより、ハイスループットスクリーニング (HTS) を行い、製薬企業に導出可能なアカデミア創薬を推進する。1.ProTαの受容体結合ドメインの同定:受容体に対するProTαの部分欠損変異体、部分ペプチドの分子間相互作用解析により、2種の受容体に対するProTα結合ドメインを決定した。種々の改変ペプチドを創製し、高活性の制御ペプチドを見出している。2.受容体に対するHTS系構築:1次HTS系としてリガンドと受容体の結合をタンパク質の熱変性温度のシフトにより検出するThermal-Shift Assayを構築した。また、受容体シグナルを分泌型アルカリホスファターゼ活性として評価するSEAPorter Assayと化学発光検出系を構築した。いずれもHTSに対応する。受容体シグナルにより変動する遺伝子の発現定量系も構築し、化合物の作用確認に応用する。3.個体レベルにおける評価系の構築とProTα変異ペプチドの活性評価:ヒットした化合物については、マウス網膜虚血モデルにおける組織化学的改善と網膜電位図解析による機能的改善効果にて評価する。本系は高感度かつ高定量性を有しており、ProTα活性ペプチド群の効果のスコアリングにも成功している。 ProTαの細胞外機構の標的である受容体に対する作用化合物の網羅的探索を行うスクリーニング系をおおむね確立した。次年度においては、公的化合物、市販ライブラリーよりHTSを開始する。化合物の作用機序分類・活性評価を戦略的に行う。将来的に、受容体との立体構造解析、in silico解析、化合物最適化、非臨床・毒性試験を含めたHit to Leadを行うことで、新規脳保護治療薬の創薬が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.受容体に対するハイスループットスクリーニングの系をおおむね構築し、化合物ライブラリーからスクリーニングを遂行する段階にある。2.リガンドタンパク質の部分欠損変異体、ペプチドミメティクスによる結合解析、並びに作用解析から高活性の受容体制御ペプチド創製を開始している。3.受容体とリガンドの結合実験系、並びに個体レベルにおける活性評価系を構築し、個体レベルにおける活性ペプチドの評価に成功している。4.化合物ライブラリーから、実際にハイスループットスクリーニングを行う段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
脳保護性新規DAMPsの受容体スクリーニング系を分子 ―細胞レベルでおおむね構築できたことから、公的化合物ライブラリーもしくは市販ライブラリーを用いてハイスループットスクリーニング (HTS)を行い、創薬に繋がるヒット・リード化合物の同定を行う。加えて、新規HTSアッセイ系の開発とHTSで使用する標的タンパク質の多量生産を確立する。さらに、個体レベルでの活性評価を行い、将来的に製薬企業に導出できるような創薬シーズ開発を目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は創薬スクリーニング系の構築、並びに活性本体タンパク質の部分ペプチドや改変ペプチドを用いた活性中心の同定・制御解析を行い、化合物ライブラリーからのHTSを戦略的に行う準備を行ったため、スクリーニングを遂行する経費として平成24年度に繰り越した。平成24年度においては、効率の良いHTS新規アッセイ系確立と標的受容体の多量生産に必要な物品、実際のHTS遂行時の消耗品、試薬、並びに実験動物の購入に当該研究費を充てる。
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