2012 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質過敏症を呈する親電子物質に対する感知・応答の防御システムの探索
Project/Area Number |
23659063
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊谷 嘉人 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00250100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新開 泰弘 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10454240)
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Keywords | 化学物質過敏症 / 3,4-ジヒドロクマリン / アミノ基 / 共有結合 |
Research Abstract |
生活環境中に存在する化学物質の一部は親電子性を有している。これまでの報告から、皮膚過敏症を示すような親電子物質の中には、解離性チオール基ではなく解離性アミノ基にのみ共有結合するものが報告されている。本研究では、香料の材料として用いられる3,4-ジヒドロクマリン(DHC)を解離性アミノ基と共有結合を形成する性質を有する親電子物質のモデル化合物として使用し、化学物質過敏症を呈する化学物質に対して生体が備えた感知・応答の防御システムを探索することを目的としている。本年度は、DHCに対する特異的な抗体を作製し、細胞内標的タンパク質を探索することを試みた。キャリアー蛋白質としてKeyhole limpet hemocyanin(KLH)を用い、DHC-KLH結合体を作製後、当該抗原を2週間おきに計7回ウサギに感作させた。得られた抗血清を段階希釈し、ELISA法にてDHCに対する抗体価を検討したところ、チトクロムCに対しては全く上昇が見られなかったが、DHC-チトクロムC結合体に対して高い抗体価の上昇を認めた。抗血清はDHC-KLHに対しても高い抗体価を示し、それはKLHに対する抗体価と比較してもアフィニティーが2倍以上高かった。すなわち、抗体価の高い抗DHC抗体の作製に成功した。そこでDHCにヒト扁平上皮由来A431細胞を曝露したところ、濃度依存的なDHC修飾タンパク質の増加がウエスタンブロットにて検出できた。現在、DHCに曝露した細胞のタンパク質を2次元電気泳動後、細胞内にてDHCの標的となるセンサータンパク質を探索中である。
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