2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性ウイルス出現を克服するためのHIV脱殻機構を標的とした治療薬開発
Project/Area Number |
23659066
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三隅 将吾 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (40264311)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 微生物 |
Research Abstract |
HIV感染症に対する抗ウイルス剤の開発と治療法はウイルス感染症治療のなかで近年最も進歩したものの1つである。しかし、多剤併用療法を受けながらも効果が十分にあがらず、ウイルスの増殖抑制に失敗する症例も数多くあり、治療薬剤に対する耐性を獲得したHIV変異株の出現が主な理由として挙げられる。そこで、薬剤耐性変異ウイルスを標的とした新たな薬剤開発が求められている。申請者は、HIV RNAを保護しているHIVカプシドコアが崩壊する過程(脱殻過程)に関与する宿主因子プロリルイソメラーゼPin1を発見した。本研究では、Pin1がカプシドコアを認識する部位に存在するSer16残基のリン酸化を触媒する酵素の特定とその阻害剤の探索、およびPin1に対する阻害剤を探索することで、薬剤耐性ウイルスの出現を抑えた新規抗HIV剤の探索を行うことを目的としていた。その結果、申請者はSer16残基をリン酸化する酵素としてERK2を見出した。このERK2に対する阻害剤sc-222229を100 nM でHIV持続感染細胞に処理した場合、ウイルスの産生量そのものには変化がなく、持続感染細胞そのものの増殖には影響がなかった。しかしながら、予想通りウイルス粒子内のカプシドのSer16残基のリン酸化が阻害され、また、qPCRを用いた逆転写過程の解析やin vitro 脱殻アッセイによって、sc-222229で処理されたHIV持続感染細胞から得られたウイルスは逆転写過程および脱殻そのものがうまくいかないことで感染性が低下することを明らかにした。なお、ERK2に対するsiRNAを用いた実験でも同様の結果が得られたことから、ウイルス粒子内へのERK2の取込みを阻害するような阻害剤は、新たな抗HIV剤として開発できる可能性がある。
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[Journal Article] Induction of extremely low protein expression level by fusion of C-terminal region of Nef.2012
Author(s)
Takamune, N. *, Irisaka, Y., Yamamoto, M., Harada, K., Shoji, S., Misumi, S.
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Journal Title
Biotechnology and Applied Biochemistry
Volume: 59
Pages: 245-253
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase negatively regulates human immunodeficiency virus type 1 infection.2012
Author(s)
Kishimoto, N., Onitsuka, A., Kido, K., Takamune, N., Shoji, S., Misumi, S.
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Journal Title
Retrovirology
Volume: 9
Pages: 107
DOI
Peer Reviewed
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