2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬毒物による三種の生理的ガス状物質産生の相互調節に関する研究
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23659068
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉田 武美 昭和大学, 薬学部, 名誉教授 (90006354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 佐知子 昭和大学, 薬学部, 講師 (00197419)
芦野 隆 昭和大学, 薬学部, 助教 (00338534)
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Keywords | ガス状物質 / 硫化水素 / 一酸化炭素 / Nrf2 / 動脈硬化 / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
生体内ではガス状物質として一酸化窒素、一酸化炭素および硫化水素が産生されることが明らかとなっており、様々な組織の機能維持において重要な機能を担っていると考えられている。本申請課題は、これらガス状物物質およびその産生酵素の機能を解明することを目的とした。 最終年度である平成24年度は、心血管系に焦点をあて、動脈硬化発症と進展に関与する血管傷害後の新生内膜肥厚とその重要なステップである血管平滑筋細胞(VSMC)遊走におけるガス状物質の機能について検討を行った。血管傷害後のVSMC遊走は、血小板由来増殖因子(PDGF)により惹起される。VSMCへのPDGF刺激により、硫化水素産生酵素シスタチオニンγ-リアーゼと一酸化炭素産生酵素ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)が有意に発現誘導された。そこで、硫化水素ドナーであるNaHSを処置したところPDGF刺激によるVSMC遊走が有意に抑制された。また、HO-1の転写因子Nrf2をsiRNAでノックダウンしたところ、同様にPDGF刺激によるVSMC遊走が抑制された。以上の結果から、硫化水素と一酸化炭素がVSMCの機能調節に関与していることが示唆された。さらにWild-typeおよびNrf2遺伝子欠損マウス大腿動脈にワイヤー傷害を施し、4週間後の新生内膜を測定し比較したところNrf2遺伝子欠損マウスにおいて血管新生内膜の肥厚が有意に増悪した。 本申請研究課題を通して、肝組織においては、薬毒物によって誘発される傷害に対してHO-1が防御機能を示すこと、さらに血管組織においては、硫化水素と一酸化炭素がVSMC遊走と血管傷害後の内膜肥厚を抑制することを示唆する結果が得られた。これらの成果は、ガス状物質をターゲットにした治療へと方向づけることができるものと考えられる
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Research Products
(12 results)