2011 Fiscal Year Research-status Report
炎症関連核内受容体と細胞間連関に着目した薬剤性肝障害の機序解明と予測系開発
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23659072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉成 浩一 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60343399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 昌明 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90239418)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 核内受容体 / マクロファージ / 薬剤性肝障害 / 炎症 / 転写調節 |
Research Abstract |
ヒト単球系THP-1細胞をフォルボールエステルで処置してマクロファージ様細胞に分化させ、この細胞における核内受容体の発現プロファイルを逆転写PCR法により解析した。その結果、分化48時間後には、PXR、LXRalpha、PPARalpha、RXRalphaなど、肝臓に高発現している核内受容体の多くが発現していることが明らかになった。そこで、分化させたTHP-1細胞をPXRリガンドのrifampicin、LXRalphaリガンドの24-hydroxycholesterol、PPARalphaリガンドのbezafibrate、PPARgammaリガンドのtroglitazoneで処置し、サイトカイン、ケモカイン関連遺伝子の発現を、定量的逆転写PCR法により経時的に調べた。その結果、いずれのリガンド処置時にも多くのサイトカイン・ケモカイン遺伝子の発現が認められた。このうち、bezafibrateおよびtroglitazone処置ではほぼ共通の遺伝子発現変動プロファイルが得られ、中でも樹状細胞や細胞障害性T細胞の郵送に関わるある種のサイトカインの顕著な発現亢進、および抗炎症性サイトカインの1つの顕著な発現抑制が認められた。さらに、複数のPPARalphaまたはPPARgammaリガンドを用いた解析により、上記の遺伝子発現変動は、ある種のリガンドで選択的に起こる可能性が示された。 一方、上記研究成果からマクロファージ様THP-1細胞におけるPPARシグナルの解析が今後必要になると考えられたことから、PPARalphaおよびPPARgammaの共通の標的遺伝子であるAox1のレポーターアッセイ系を構築し、THP-1細胞で評価可能であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝障害性薬物を用いた解析を行なうことができていないが、発現変動を示す遺伝子について、期待以上の遺伝子数を同定できたことから、今後の展開の拡がりが期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には平成23年度に提出した交付申請書に記載された計画に従い研究を進める。まず、THP-1細胞で認められた現象が他のマクロファージ系細胞でも認められるか否か、種々の細胞を用いて解析する。一方で、遺伝子発現変動の分子機構を解析する。さらに、マクロファージ系細胞と肝細胞の共培養系を確立し、(1)共培養がマクロファージ系細胞におけるサイトカイン・ケモカイン関連遺伝子の発現変動に与える影響、(2)マクロファージ系細胞で発現上昇が認めれた液性因子の肝細胞に対する影響、(3)共培養にともなう肝細胞の薬物感受性の変化、等を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計画の変更を伴わないため、当初の計画通り、物品費(消耗品費)として9割程度を使用する。残りの研究費をその他費用(旅費、外部解析委託費など)として使用する。
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