2012 Fiscal Year Annual Research Report
胆管側膜輸送体の定量的可視化法の樹立と薬物間相互作用評価系への展開
Project/Area Number |
23659076
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学系, 教授 (20155237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 猛夫 金沢大学, 薬学系, 准教授 (30541742)
国嶋 崇隆 金沢大学, 薬学系, 教授 (10214975)
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Keywords | 輸送体 / 肝細胞 / 薬物間相互作用 / 薬物誘導性肝障害 / 副作用 / 胆汁排泄 / 可視化 / MRP2 |
Research Abstract |
薬物相互作用は、医薬品の安全性を保つ上で評価しなければならない重要な因子である。薬物動態上、肝動態は最も薬物及びその代謝物の暴露に影響が強く、その評価・予測が求められている。中でも、肝胆管腔側細胞膜に発現するABCトランスポ-タ-は胆汁中排泄を決めるため、本トランスポ-タ-上での相互作用予測法の樹立が求められる。相互作用予測のために利用できる阻害剤濃度は、通常はヒト血中濃度からのみであり、相互作用が生じる肝細胞内での実際の濃度を見積もることは難しい。そこで、本研究では肝細胞内有効濃度を左右する能動輸送、細胞内成分との結合、及び肝細胞内での代謝物生成といった因子を含み、血中濃度に対応する肝細胞培養液中濃度基準によって相互作用を予測する手法の提案を行った。サンドイッチ培養した肝細胞は胆管腔を形成し、形成された胆管腔内へのABCトランスポ-タ-MRP2基質の移行性を、蛍光プローブ化合物を用いることにより測定した。それを樹立したQTLI(Quantitative time-lapse imaging)法により定量化した。MRP2の蛍光基質としてCDF(Carboxydichilorofluorescein)を用いたところ、その蓄積性はMRP2阻害薬添加時に低下した。さらに、肝細胞内で生成する代謝物がMRP2を阻害する場合も、培養液中に親化合物を添加することでMRP2活性低下を定量的に再現することができた。したがって、サンドイッチ培養肝細胞を用いたQTLI法は、in vitroでの胆管腔側トランスポ-タ-上での相互作用を、能動輸送、結合、代謝全ての過程を含んだ上で、血中濃度に対応する培養液メディウム中濃度基準で評価することを示すことができた。本手法は、蛍光プローブ化合物を他のトランスポ-タ-基質に置き換えることで応用できるものであり、相互作用予測法として有用である。
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