2011 Fiscal Year Research-status Report
臓器障害時の臓器間コミュニケーションにおける分子時計の役割と合併症の機序解明
Project/Area Number |
23659084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大戸 茂弘 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00223884)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生体リズム / 分子時計 / 合併症 |
Research Abstract |
本研究の目的は、病態時に各臓器における分子時計がどのような因子により、臓器間のネットワークを構築し、相互にコミュニケーションをとっているのかを明らかにすることである。すなわち、慢性腎不全という病態下における各種臓器の時計遺伝子発現リズムを解析し、各臓器における時計遺伝子発現リズムが変化する分子機構を解明し、腎不全時の各臓器間のコミュニケーションに関わる細胞外因子および細胞内因子を同定する。また合併症の予防および治療といった点から、詳細な機序を解明し、合併症の予防薬および治療薬の開発を目指す。自由摂食水、明暗周期(明期7:00~19:00)条件下で2週間飼育したICR雄性マウス6週齢に対し、片方の腎臓を2/3摘出した。さらに1週間後(7週齢)に残り一方の腎臓を全摘出した。その後、8週間自由摂食水、明暗周期下で飼育し16週齢マウスを腎不全モデルマウスとして使用した。術後より血漿中のクレアチニンレベルはシャム群と比較し5/6Nx群において高値を示した。この結果より、5/6Nxにより慢性腎不全が発症していることが示唆された。血漿中の因子Xはシャム群と比較し5/6Nx群において、術後6週目から高値を示し、8週目においては有意に高値を示した。この結果より、腎不全の進行に伴い、因子Xの発現が高値を示すことが明らかとなった。5/6Nxマウスの肝薬物代謝酵素および転写因子発現量は、シャム群と比較し有意に低下した。5/6Nxマウスを対象に尾懸垂テストを行った結果、シャム群と比較し有意に無動時間が延長した。本研究結果より、腎不全時には、肝薬物代謝酵素およびその転写制御因子の発現低下による肝薬物代謝機能障害および中枢障害が生じることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目的は、病態時に各臓器における分子時計がどのような因子により、臓器間のネットワークを構築し、相互にコミュニケーションをとっているのかを明らかにすることであった。すなわち、慢性腎不全という病態下における各種臓器の時計遺伝子発現リズムを解析し、各臓器における時計遺伝子発現リズムが変化する分子機構を解明し、腎不全時の各臓器間のコミュニケーションに関わる細胞外因子および細胞内因子を同定する。また合併症の予防および治療といった点から、詳細な機序を解明し、合併症の予防薬および治療薬の開発を目指す。その結果、腎不全時には、肝薬物代謝酵素およびその転写制御因子の発現低下による肝薬物代謝機能障害および中枢障害が生じることを明らかにした。本研究より創薬シーズとなる腎不全時の各臓器間のコミュニケーションに関わる因子を同定できた。それらの成果は、国際的な英語論文に投稿する予定であり、ほぼ順調に成果が形になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、病態時に各臓器における分子時計がどのような因子により、臓器間のネットワークを構築し、相互にコミュニケーションをとっているのかを明らかにする。すなわち、慢性腎不全という病態下における各種臓器の時計遺伝子発現リズムを解析し、各臓器における時計遺伝子発現リズムが変化する分子機構を解明し、腎不全時の各臓器間のコミュニケーションに関わる細胞外因子および細胞内因子を同定する。また合併症の予防および治療といった点から、詳細な機序を解明し、合併症の予防薬および治療薬の開発を目指す。平成23年度に同定した腎不全時の各臓器間のコミュニケーションに関わる因子Xの阻害剤を投与することにより腎不全の改善が認められるか否か、腎不全の進行に伴い増加する因子Xの発現を抑制するか否かを検証する。また、因子X阻害剤投与により腎不全時に認められる肝薬物代謝酵素および転写因子の発現低下を抑制するか否か、さらに、因子X阻害剤投与により腎不全時に認められる中枢障害が抑制されるか否かを検証する。本研究結果により、腎不全時の肝薬物代謝機能障害および中枢障害の発症機構として因子Xが原因であることが検証できる。腎不全時の各臓器間のコミュニケーションに関わる因子を標的とした創薬を実現する予定である。なお国際的な英語論文に公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究計画において、腎障害モデルマウスおよびシャムオペレーションマウスの作成に、各オペ群2群、各時刻(9:00,13:00,17:00,21:00,1:00,5:00)は1群10匹より腎臓、肝臓をサンプリングし、C57BK マウス120匹を必要とする。平成24年度は、平成23年度に明らかにした因子Xの各種臓器間ネットワークに及ぼす影響を解析する。因子Xの下流シグナルの解析を行うため、遺伝子実験試薬(RT-PCR試薬)を必要とする。KOマウスは、九州大学動物実験施設で繁殖させ、維持管理費およびマウス購入費が必要となる。その他、実験用試薬類の費用が必要となる。以上、平成24年度は、申請の合計金額が必要となる。
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