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2011 Fiscal Year Research-status Report

有機化学のエビデンスに基づく医薬品投与時の配合変化の予測

Research Project

Project/Area Number 23659087
Research InstitutionTeikyo University

Principal Investigator

板垣 文雄  帝京大学, 薬学部, 准教授 (70563906)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 忍足 鉄太  帝京大学, 薬学部, 准教授 (00279043)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords医薬品 / 配合変化 / 有機化学
Research Abstract

初年度は「注射薬混合時の化学反応による配合変化予測」に関する研究課題を中心に実施した。 複数の注射薬を混合した場合に、析出や着色等の配合変化が数多く知られている。そのなかには有機化学反応による配合変化であると推測される事例もある。例えば、抗生物質メロペネム水和物(MEPM)とアミノ酸輸液製剤を混合した場合、急速にカルバペネム系抗生物質のメロペネム水和物は分解される。有機化学反応の理論からこれはアミノ酸輸液のなかに含まれるL-システインのスルファニル基(SH基)の高い求核性が要因のひとつであると考えられる。そこで、MEPM単独、MEPMとL-Cysの混合時、およびMEPMとアミノ酸輸液の混合時のMEPMの安定性を検討した。 MEPM単独の安定性は、pH4.0~8.0に調製したMESまたはMOPS緩衝液に、MEPMを溶解後、室温下で24時間後までのMEPM残存力価をHPLCで測定することにより評価した。MEPMとL-Cysの混合時の安定性は、MEPMとL-Cysを等モルで混合後、同様に評価を行った。 MEPM単独時の安定性試験では、いずれのpHでも残存力価79%以上を24時間後まで保っていた。MEPMとL-Cysの混合時の安定性試験では、pHが大きくなるにつれて顕著な残存力価の低下が認められた。MEPMとアミノ酸輸液を混合時の安定性試験では、プレアミンP、キドミン、アミパレンなどのL-Cys濃度の高い製剤において、混合30分後のMEPM残存力価が40%を下回る分解が認められた。また、同じL-Cys濃度のアミノ酸輸液では、pHの大きい製剤で残存力価の低下が大きい傾向がみられた。 以上の結果から、MEPMとL-Cysを含むアミノ酸輸液が輸液ライン上で混合される場合、同様の化学反応が起こりうるとの知見を得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の概要に記載したとおり、初年度に計画した「注射薬混合時の化学反応による配合変化予測」に関してはおおむね順調に進展していると考える。計画したスルファニル基(SH基)を有する医薬品とβ-ラクタム環を有する抗生剤について、有機化学反応による配合変化を検証することができた。これらのデータをとりまとめ、学会報告や論文公表を行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

注射薬の配合変化は、膨大な量の実例が報告されている。平成24年度はその実例を詳細に分析し、医薬品の骨格や官能基から生じる配合変化を推測して、前年度と同様にその検証を行う。 また「経口薬混合時の化学反応の予測」と「経口薬の胃内における化学反応の予測」に関する研究課題に着手する。近年、嚥下困難な患者に対して、多数の医薬品を全ての錠剤をあらかじめ微温湯に溶解、混合してシリンジで投与する簡易懸濁法が普及している。しかしながら、膨大な配合変化の事例が知られている注射薬と異なり、経口投与薬の有機化学反応による配合変化の事例は知られていない。簡易懸濁法と同条件の、微温湯下における経口薬の有機化学反応による配合変化の有無を検討する。さらに「経口薬の胃内における化学反応の予測」に関する研究課題に着手する。胃酸分泌による酸性条件下では、医薬品の化学構造によっては化学反応が促進されると考えられる。酸性条件下での経口薬の有機化学反応による配合変化の有無を検討する。 「経口薬混合時の化学反応の予測」、「経口薬の胃内における化学反応の予測」の研究課題の対象とする医薬品として、配合変化を生じた場合に特に治療効果に影響が大きいと予想されるハイリスク薬(抗悪性腫瘍剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、精神神経用剤、糖尿病用薬、免疫抑制剤など)を中心に検討を進める。医薬品の化学構造の骨格や官能基から、多数の医薬品の混合によって生じる配合反応を予測し、先に記述した注射薬と同様に検証する。すなわち、反応生成物を分離精製し、NMR等の機器分析により構造解析を行ない、反応経路の推定を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

大学研究室の移転等の都合により、初年度に購入を予定していた物品について購入が遅滞している。大学移転が完了した平成24年春以降に物品を購入し、稼働させることにより、さらに研究を進める予定である。 また、試薬の購入等に研究費を使用する予定である。

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Published: 2013-07-10  

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