2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659089
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
木村 英雄 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 部長 (30321889)
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Keywords | 硫化水素 / ポリサルファイド / D-システイン |
Research Abstract |
本年度は、アストロサイト局在H2S感受性分子とD-cysteine からのH2S合成について重点的に研究を進めた。アストロサイト局在H2S感受性分子ついては、H2Sからpolysulfidesが生成し、脳内に約20 microM存在し、TRPA1チャネルを活性化することを発見した。成果をFASEB J fj.12-226415, 2013に発表した。D-cysteine からのH2S合成については、ネガティブコントロールとして使用したD-cysteineからH2Sが発生し、D-amino acid oxidase (DAO)/3-mercaptopyruvate sulfurtransferase (3MST)経路を発見した。この経路は小脳と腎臓に局在しており、特に腎臓においてはL-cysteineよりも80倍の効率でH2Sを生産することが分かった。さらに、D-cysteine経口投与により、腎臓虚血再還流障害がL-cysteine投与より効率良く抑制することが明らかになり、腎障害治療法開発につながる成果と確信する。Nature Communications 2371, 2013に発表した。また、H2S合成酵素cystathionine gamma-lyase (CSE)のカルシウムによる制御を解明した。低濃度のカルシウムで活性化され、高濃度カルシウムでは浴せ視されることを明らかにし、成果をBiochem. Biophys. Res. Commun. 431, 131-135, 2013に発表した。また、共同研究による成果をMol. Cell. Endochrinol. 350, 31-38, 2012とAntioxid. Redox Signal. 17, 11-21, 2012に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した5項目のうち、4項目についてその成果を原著論文8報に発表した。このうち初年度にBiochem. J.、J. Biol. Chem.、J. Am. Chem. Soc.に発表し、当該年度には5報、FASEB J. Nature Communs, Biochem. Boiophys. Res. Commun., Mol. Cell. Endochrinol., Antioxid. Redox Signal.に発表した。初年度に総説1報をAmino Acidsに、ミニレビュー2報をExperimental Physiology、Communicative & Integrative Biologyに発表し、当該年度に総説を2報、Antioxid. Red. Signal., Frontiers in Physiol., に発表した。また、日本語総説を生化学、日本薬理学雑誌等に6報発表した。また、初年度に国外での招待講演4題を行い、当該年度には、国外招待講演を3題、1. Experimental Biology 2012, San Diego, April 24, 2012. 2. First European Conference on the Biology of Hydrogen Sulfide, Bratislava, June 17, 2012. 3. Second International Conference on H2S biology and Medicine, Atlanta, Sept. 20, 2012.を行った。 国内学会においても、招待 特別講演2題を行い、初年度一般演題12題を日本薬理学会、日本神経科学会、日本生化学会において発表し、当該年度に12題を発表した。全体として、予想を上回る成果を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該年度に発見した、1. polysulfidesについて、TRPA1チャネルの活性メカニズムについて検討をおこない、2. D-cysteine からのH2S合成と腎臓保護作用について検討を進める。1については、TRPA1チャネルの活性は、このチャネルの活性調節部位として提案されているアミノ末端のシステイン残基をスルフヒドリル化することによるという仮説を立て、これを証明する。2については、3MSTノックアウトマウスのコロニーをすでに確立しており、このノックアウトマウスの小脳及び腎臓ではD-cysteineからH2Sを合成できないことと、D-cysteine経口投与によっても腎臓虚血再還流障害を抑制できないことを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度及び当該年度はともに予想以上に、研究が順調に進み、良い成果を挙げることができた。そのため、次年度に使用する予定研究費に充てることが可能になった。これと翌年度以降に請求する研究費と合わせ、進行中の研究を推進していく。国外学会からの招待講演も3つ予定されており、国内学会における発表も増えることが予想される。次年度における研究消耗品費等に加え、これら学会への参加費、旅費等及び論文発表にも充当する。
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article] A novel pathway for the production of hydrogen sulfide from D-cysteine in mammalian cells2013
Author(s)
Shibuya, N., Koike, S., Tanaka, M., Ishigami-Yuasa, M., Kimura, Y., Ogasawara, Y., Fukui, K., Nagahara, N. and Kimura, H
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Journal Title
Nat. Commun
Volume: 4
Pages: 1366
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Polysulfides are possible H2S-derived signaling molecules in rat brain2013
Author(s)
Kimura, Y., Mikami, Y., Osumi, K., Tsugane, M., Oka, J-I, and Kimura, H
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Journal Title
FASEB J
Volume: 27
Pages: 2451-2457
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Another pathway to produce H2S in the brain2012
Author(s)
Shibuya, N., Ishigami, M., Tanaka, M., Kimura, Y., Ogasawara, Y., Fukui, K., Kimura, H.
Organizer
第35回日本神経科学大会
Place of Presentation
名古屋国際会議場、名古屋
Year and Date
20120919-20120921
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[Presentation] Hydrogen sulfide (H2S) protects retinal photoreceptor cells from light-induced degeneration.2012
Author(s)
Mikami, Y., Shibuya, N., Kimura, Y., Nagahara, N., Yamada, M., Kimura, H.
Organizer
第35回日本神経科学大会
Place of Presentation
名古屋国際会議場、名古屋
Year and Date
20120919-20120921
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[Presentation] Another pathway to produce H2S in the brain.
Author(s)
Shibuya, N., Ishigami, M., Tanaka, M., Kimura, Y., Ogasawara, Y., Fukui, K., Kimura, H.
Organizer
第85回日本生化学会大会
Place of Presentation
福岡国際会議場、福岡
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[Presentation] Regulation of H2S production by 3-mercaptopyruvate sulfurtransferase.
Author(s)
Kimura, H., Mikami, Y., Shibuya, N., Kimura, Y., Ogasawara, Y., Nagahara, N.
Organizer
第85回日本生化学会大会
Place of Presentation
福岡国際会議場、福岡
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