2012 Fiscal Year Research-status Report
生体内凍結技法による血管内流動赤血球膜内粒子および膜骨格構造の超微形態学的解析
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23659093
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大野 伸一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (50109170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 信生 信州大学, 医学部, 教授 (60293461)
齊藤 成 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10456444)
齊藤 百合花 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00530099)
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Keywords | 生体内凍結技法 / 流動赤血球機能的形態像 / 膜関連蛋白 |
Research Abstract |
平成24年度では、生体内凍結流動赤血球の走査型電顕法と共焦点レーザー顕微鏡による検討を行なった。 1.走査型電顕法での検討:(1)各種臓器組織を平成23年度と同様に生体内凍結した。(2)凍結試料組織を割断摘出し、-80℃に冷却した四酸化オスミウム含有アセトン中で、24時間、凍結置換固定した。(3)温度を徐々に上昇させた後、t-ブチルアルコールに入れて凍結乾燥した。白金パラジウムをイオンスパッターでコーティングして走査型電顕で検索した。(4)一部の生体内凍結試料は、エッチングを行ない、金蒸着(5nm)後、走査型電顕で観察した。以前より、マウス各種臓器内流動赤血球の形態変形能は、酸素運搬機能を考慮すると、重要であると言われている。しかし、生きた動物臓器内流動赤血球の形態像は十分に解明されていなかった。特に太い血管内(大動脈)や肝類洞内での形態学的解析は、従来の電顕用浸漬固定法や灌流固定法では困難であった。本研究により、大動脈内流動赤血球は楕円状形態像をとるが、流速の遅い下大静脈内流動赤血球は、両側陥凹円盤状であった。また肝類洞内流動赤血球は、流体力学的乱流による影響のために、種々の形態像を呈していた。以上のように生体内各臓器での赤血球の機能的形態像が明らかとなった。 2.凍結切片による多重免疫染色法:生体内凍結後、各臓器内流動赤血球をパラフォルムアルデヒド含有アセトン中で凍結置換固定して、凍結切片作製を行ない、膜結合蛋白等の抗体で免疫染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。生きたマウス肺胞壁毛細血管内流動赤血球は、膜骨格蛋白スペクトリンで免疫染色すると、その形態像を容易に可視化できた。一方、アクアポリン1で毛細血管の内皮細胞を免疫染色することにより、種々の流動赤血球が、肺胞吸気時に血管内皮細胞と接着しており、ガス交換機能を効率よく行う形態像がとらえられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、研究代表者が、長年に渡って行ってきた急速凍結・ディープエッチング(QF-DE)レプリカ法を生きた動物生体内臓器流動赤血球の機能形態学的解析に応用したものである。この生きた動物臓器組織を、通常の虚血と酸欠状態を引き起こす試料切除をすることなく、生体内凍結した臓器組織から、平成23年度の三次元的QF-DE法と平成24年度の走査型電顕試料を作製して解析した。まずは、平成23年度でネンブタール麻酔下マウス肝臓と腎臓を生体内凍結して、流動赤血球のディープエッチングレプリカ膜を作製した。この流動赤血球は、流速方向に赤血球の長軸を合わせるように伸展して、赤血球膜内粒子が直線的に配列し、これらの膜内粒子は、バンド3蛋白抗体で免疫染色された。さらに、生体内凍結‐凍結置換試料においても、赤血球膜骨蛋白構造が確認された。また、平成24年度は、別記(9.研究実績の概要)の研究成果を挙げることができ、この2年間は、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、正常血行動態下とは異なり、生体内血行動態の変化による流動赤血球の機能形態学的解析をする:薬剤投与や人為的心停止などにより、麻酔下マウス各種臓器内血行動態を変化させて、平成23年度および平成24年度と同様の方法で、各臓器内流動赤血球の機能形態像を検索する。これにより、生体内各臓器の血行動態等の微小環境が、赤血球の機能分子形態像に与える因子を解析できる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)