2012 Fiscal Year Research-status Report
BAC搭載HACを用いた肝上皮紋様形成ライブイメージングマウスの開発
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23659097
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横内 裕二 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 特任教授 (60252227)
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Keywords | イメージング / 組織発生 / 肝臓 / 肝上皮 / 自己組織化 / 蛍光タンパク / BAC / HAC |
Research Abstract |
「研究の目的」 肝臓の胚性期における上皮組織の樹状紋様形成は遺伝的プログラムに従って行われる。この樹状紋様形成は周囲の血管内皮細胞および胚性肝中皮細胞との相互作用によって制御されていると考えられているが、その相互作用を生きた状態で直接観察した報告は未だ行われていない。本計画では胚性肝臓を構成する3つの細胞種である、肝上皮細胞、血管内皮細胞、および胚性肝中皮細胞を3種類の蛍光タンパクで標識する遺伝子改変マウスとして3つの組換えBACsを搭載した人工染色体を構築しそれをES細胞に組み込むことを行う。さらにその人工染色体含有ES細胞をマウス胚に移植することで組換えBACs搭載人工染色体含有ES細胞由来のマウス系統を樹立する。さらに本系統より胚を確保し、in vitro 全胚培養系において肝組織構築のライブイメージングを行う。 「研究実施計画」 本年度は、Albumin-BAC, Flk1-BAC, WT1-BACをCHORIより購入した。これらのBAC clonesの有する制御領域は in-frameで挿入した外来遺伝子を肝上皮細胞、血管内皮細胞、胚性中皮細胞で特異的に発現させることが期待できる。本年度はこれらのBAC clonesのPCRによるBAC end解析、制限酵素によるマッピング、BAC DNAの抽出、BAC DNAsのrecombineering用大腸菌への導入、カセットの構築を行なった。現在、カセットのBACへの導入手前で中断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、研究を推進するために力となる大学院生が全くいない状況であり、平行して実施している基盤Bにおいてもパートタイマーの実験支援員を一から訓練し徐々に進めている状況である。 このような不利な状況下で本研究計画を実行するために、実験支援員一名をBACの扱いとrecombineeringのために特別に訓練してきたが、その実験支援員は 雇用形態が非常勤であることから将来への不安を覚え仕事への集中力を失ってしまった。さらに昨年秋より他業種への転職活動を勤務時間内に行い続けるという状況に至ってしまった。 その結果、BAC構築のためのカセット作成が遅れさらにそれらのBACへの組み込みが中断しているという訳である。
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Strategy for Future Research Activity |
3つのBAC clonesを蛍光タンパクcDNA含有カセット群で改変しクロモリサーチに人工染色体の構築を外注しさらに人工染色体含有ES細胞から人工染色体含有マウスを作成するというのが当初の研究計画であった。しかしこれらの過程を限られた資金で一年以内に実行することは もはや不可能である。このままでは全く得るものがないまま終了することが予想される。 本来、胚性肝臓の組織形成時の細胞間相互作用を可視化するというのが本研究の目的である。そこで、「3種類の細胞群の同時観察」を「2種類の細胞群の同時観察」へと達成目標を緩和することで実現可能にする。また現在利用可能なマウス系統の特徴を最大限に利用することで新たに設定された目標を実現する。以下に現在利用可能なマウス系統の特徴を記す。 現在、基盤B実施のために確保したマウス系統のうち、FoxA2-GFP-CreERT2, WT1-EGFPCreでは GFPが Cre recombinaseとほぼ同じ時空間パタンで発現するよう設計されており 胚性内胚葉細胞, 胚性中皮細胞を緑蛍光で追跡することができる。またTek-Creは ROSA26Reporterと交配することで内皮細胞を標識することは可能である。 これらのマウス群と交配して使用することを前提とした遺伝子改変マウス群を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「Cre依存的に細胞を赤色蛍光で標識するROSA26Rマウス Ai9-3tTomの作成」 ROSA26R系を利用すると、Tek-Creと交配することで血管内皮細胞をlacZまたは蛍光タンパクで標識することが可能になる。しかしながら、国内においてCre活性を赤色蛍光で標識できるマウスはほとんど出回っていない。そこで、ROSA26R系targeting vectorであるAi9を利用して, 赤色蛍光タンパク3tTomを挿入部位に組み入れたノックインマウスを作製する。本実験に必要な外注費として51万円を計上する。 「内皮細胞を赤色および青色蛍光で標識するトランスジェニックマウス」 これまでに、血管内皮細胞を緑色蛍光で標識するTg マウスは存在するが、赤色または青色蛍光で標識するものは報告されていない。そこで赤色または青色蛍光で標識するTgマウスを作成する。既に購入済のFlk1-BACのexon1に赤色蛍光タンパク tandemTomato cDNAまたは青色蛍光タンパク Azurite cDNAをRecombineeringによって組み込む。本組換えBAC DNAを雄性前核への注入法によって C57BL6の受精卵へ導入しTgマウスを作成する。本実験を実施するために必要なマウスおよび器具の購入経費として30万円を計上する。
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Research Products
(3 results)