2011 Fiscal Year Research-status Report
異常骨髄幹細胞を標的にしたイマチニブによる糖尿病合併症の治療戦略
Project/Area Number |
23659098
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤宮 峯子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10199359)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 糖尿病 / 臓器障害 / イマチニブ / 細胞融合 / STZマウス / HFD糖尿病 |
Research Abstract |
我々は糖尿病でおこる多臓器障害が、異常な骨髄細胞と標的臓器細胞の細胞融合で起こることを突き止めた。一方イマチニブは慢性骨髄性白血病におけるBcr-Ablチロシンキナーゼを選択的に阻害する分子標的薬である。平成23年度の研究の結果、STZ糖尿病および高脂肪食負荷糖尿病マウスにおいて、腎臓および肝臓における異常な骨髄由来細胞の浸潤が、イマチニブの投与で抑制されることを突き止めた。それに応じて、肝細胞や腎尿細管上皮細胞が放出するTNFαが減少することも分かった。しかし、腎障害の指標となる尿Alb/Cre比や、肝障害の指標となる血中ALT, AST値には変化がなかった。この結果から、イマチニブの投与で、末梢臓器と細胞融合して相手の細胞をアポトーシスに導く骨髄由来細胞の浸潤が抑制されたことより、糖尿病合併症の治療戦略を考える上で重要な示唆が得られたといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究でイマチニブが糖尿病性臓器障害の原因となる、骨髄細胞と標的臓器の細胞融合を抑制する効果があることが判明した。今後の治療戦略を考える上で重要な知見といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
腎障害や肝障害の指標となる生化学データが、イマチニブの投与で改善されなかった原因はどこにあるのかを、平成24年度の研究で突き止めたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、実験動物(マウス)、High Fat Diet飼料、各種薬品、細胞培養用品、MACS, FACS用試薬、RT-PCR用品。旅費、人件費。
|