2011 Fiscal Year Research-status Report
機能的ブレインボウ法による発達期シナプス形成-選択メカニズムの解明
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23659105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八尾 寛 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (00144353)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | シナプス形成 / ニワトリ胚 / 遺伝子導入 / 電気穿孔法 / スライス培養 / 自律神経節 |
Research Abstract |
(1)エレクトロポレーションによるブレインボウ法の確立ブレインボウとCreリコンビナーゼを共発現させるべく2種のプラスミド、pCAGGS-Brainbow1.1MとpCAGGS-mCherry-NCreを作製した。これら二種のプラスミドをE2初期胚の神経管内に注入し、中脳神経上皮細胞に卵内でエレクトロポレーションした。その結果、エディンガー・ウェストファル核、動眼神経、網様体神経節、それぞれにおいて、ブレインボウの発現が認められた。次に毛様体神経節における軸索投射の発達過程を見るべく、E8-14それぞれのステージで摘出した毛様体神経節を観察した。E8では、無数に枝分かれした軸索が観察された。このステージでは杯状シナプスはほとんどなかったかわりに、ボタン状シナプス様の軸索の膨らみが観察された。E10では、ポストの細胞を覆う課程と思われる杯状シナプスが観察された。E12では、より成熟した杯状シナプスと、軸索分枝の現象が見られ始めた。E14では、ほぼすべての神経終末が杯状になった。またこのステージでは軸索の枝分かれは少なく、側枝はあって1,2本程度しか観察されなかった。以上の観察結果より、プレシナプスの軸索とポストの毛様体細胞とのシナプス形成は、軸索側枝の刈込とシナプス除去によって劇的に再編成されることが示唆された。(2)中脳EW核‐動眼神経‐毛様体神経節‐虹彩平滑筋を含むスライス(EWCI)の培養系の確立まずEW核、動眼神経、毛様体神経節を含むスライスを作製し、培養を試みたが、組織は数日で脱落してしまい、長期培養には至らなかった。この実験を踏まえ、スライスではなく、全脳での培養を試みた。頭部を切り出し、余分な組織を除いて、膜フィルター上で培養を行った。その結果、組織の脱落は減少したが、毛様体神経節を正常に発生させることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画について、いくつかの修正点が明らかになった。したがって、成功の確度の高い研究計画を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
チャネルロドプシンのpCAGSプラスミドを作成し、ニワトリ胚E2において中脳にエレクトロポーレーションしたのち、ex ovo培養を行う。E8から、グルタミン酸ブロッカーCNQXを持続的に投与し、中枢神経のシナプス伝達を抑制する。このときの毛様体神経節カリックスシナプスの形態と機能を、コントロールと比較する。また、中脳ー動眼神経に光刺激を与え、チャネルロドプシン発現ニューロンを選択的に活動させ、このニューロンの作るカリックスシナプスの形態と機能を活動を与えないものと比較する。以上の成果に基づき、カリックスシナプスの機能と形態の発達において、神経活動の役割について考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費987,189円(実験動物1式117,189;遺伝子組換え試薬1式360,000;一般試薬1式240,000;ガラス・プラスチック器具1式270,000)、旅費70,000円(研究成果発表旅費)、人件費60,000円(学国語論文の校閲)、その他342,000円(研究成果投稿料90,000;核酸合成外注252,000)。 計:1,459,189円。
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Research Products
(16 results)