2011 Fiscal Year Research-status Report
間欠的および持続的酸素濃度操作による多能性幹細胞の特質改変法の開発
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23659109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 和夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90197640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40273502)
星野 勇馬 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00378746)
佐藤 幸保 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00508236)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 / 低酸素 / 間欠的低酸素 / 持続的低酸素 |
Research Abstract |
従来の我々が保持していた液相法による細胞への低酸素曝露では、液相内の低酸素を実験目標値に持っていくまで最低15分程度かかり、1時間に3回程度の間欠的低酸素状態を作成することしかできなかった。そのため、気相法による細胞に対する新たな低酸素曝露装置を自主開発し、実験系の条件検討を行った。溶媒液体中の酸素分圧を30-80 Torrの安定した1時間に8回程度の間欠的低酸素状態、もしくは持続的低酸素状態を作り出すことが可能になった。 HeLa細胞を用いた予備実験を行い、間欠的低酸素でNF-κBの下流にあるTNF-αの誘導を認め、持続的低酸素状態において、Hypoxia inducible factor-1(HIF-1)の誘導とその下流のvascular endothelial growth factor(VEGF)の誘導を認めた。この結果により、既報と同様に間欠的低酸素曝露と持続的低酸素曝露では異なる経路の遺伝子が誘導されることを確認した。 当初の研究計画では、iPS細胞を用いて、間欠的低酸素曝露実験を行い、iPS細胞の間欠的低酸素、持続的低酸素下での分化の状態を観察、制御する予定であったが、iPS細胞作成への影響やiPS細胞そのものへの影響を検討するためには、複数のセルラインで更なる条件検討を行う必要があるとの結論に至り、TE-671細胞やHUVEC細胞を用いた低酸素曝露実験を継続中である。 この細胞実験の結果を、Tanizawa K, Chin K: Effects of intermittent hypoxia on several parameters for cardiovascular risk factorsという題目で World Sleep 2011のシンポジウムにおいて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は当講座に既有の自主開発した低酸素曝露装置(以下「1号機」)を用いて、多能性幹細胞(iPS細胞)に対する低酸素曝露実験を予定していた。ところが、HeLa細胞を用いた予備実験を繰り返したところ、既有の装置では安定した間欠的低酸素条件を再現することが困難であると判明した。 細胞に対する間欠的低酸素曝露実験には幾つかの既報があるが、実験系として確立されたものはなく、実験条件もまちまちである。このため、既報を参考に新たな低酸素曝露装置(以下「2号機」)を再度自主開発する必要に迫られ、約4月間の時間を要した。2号機では1号機と異なり混合ガスを用いて間欠的低酸素を実現している。低酸素曝露された細胞の液体培地内において至適な低酸素状態が実現されるように条件検討を繰り返し、HeLa細胞を用いた予備実験において、既報と同様の結果が得られた。 しかしながら、iPS細胞作成への影響やiPS細胞そのものへの影響を検討するためには、複数のセルラインで更なる条件検討を行う必要があるとの結論に至り、TE-671細胞やHUVEC細胞を用いた低酸素曝露実験を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、細胞に対する低酸素曝露実験には確立された実験系や実験条件がないため、まず2号機を用いた実験系を早急に確立し、その妥当性を立証する必要がある。具体的にはTE-671細胞やHUVEC細胞を用いて、間欠的低酸素および持続的低酸素がアラキドン酸代謝に与える影響を検討する。また低酸素曝露後の細胞を長時間培養し、低酸素曝露のより長期的な影響を検討する。これらの結果を学会発表および論文執筆のかたちでまとめ、現行の実験系の妥当性を確立する。 並行して、マウス胎仔線維芽細胞(murine embryonic fibroblast, 以下MEF)およびiPS細胞に対する低酸素曝露を行う。MEFからのiPS細胞の樹立、iPS細胞の未分化状態維持、iPS細胞の分化能に対する持続的低酸素(SH)曝露および間欠的低酸素(IH)曝露の影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1) E-671細胞およびHUVEC細胞のアラキドン酸代謝に関する実験 2) iPS細胞作成およびiPS細胞の分化能に関する実験 3) 低酸素曝露装置のメンテナンスおよび混合ガスボンベの購入 4) 学会発表および論文執筆にかかわる諸経費を予定している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Effects of the presence of hypertension on the relationship between obstructive sleep apnoea and sleepiness.2011
Author(s)
Harada Y, Oga T, Chin K, Takegami M, Takahashi K, Sumi K, Nakamura T, Nakayama-Ashida Y, Minami I, Horita S, Oka Y, Wakamura T, Fukuhara S, Mishima M, Kadotani H.
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Journal Title
J Sleep Res
Volume: 20
Pages: 538-543
DOI
Peer Reviewed
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[Remarks] 特になし。