• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

血管攣縮の原因シグナル分子の産生機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23659113
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

小林 誠  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80225515)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岸 博子  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40359899)
Keywords血管攣縮 / 病態生理 / 酸化ストレス / 活性酸素
Research Abstract

血管異常収縮である血管攣縮は、急性発症の致死的な難病、即ち、心筋梗塞や脳梗塞などの血管病を引き起こす。これらの血管攣縮による血管病は、突然発症する特徴を有しており、我が国の突然死の主因として恐れられている。
血管は、通常、Ca2+依存的に血管平滑筋が収縮・弛緩することによって、血圧や血流を一定に維持している。これに対して、血管攣縮は、正常なCa2+依存性の血管収縮が単純に増強したものではなく、Ca2+非依存性の異常収縮による事が分かっていたが、その原因分子は不明であった。申請者らは、Ca2+非依存性の異常収縮の原因分子スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を世界で初めて同定し、SPC の下流の病的経路を解明した。血管攣縮の理想的かつ根本的な治療法としては、SPC が産生され血管攣縮が起きた『後』に治療をする、という立場ではなく、SPC産生を直接遮断して、血管攣縮の発症そのものを阻止できれば真の予防が可能となるが、SPC の産生経路は全く不明である。従って、本研究では、SPC 産生の分子機構を解明することを目指す。
初年度の研究によって溶液中で認められた、酸化ストレスによるSPC産生機構の産生条件を検討したところ、酸性条件で産生が亢進されることが分かった。そこで、くも膜下出血後に血管攣縮が高頻度に合併する事、さらに、マクロファージのライソゾーム中は酸化ストレスが強く酸性である事に着目し、タンデム型質量分析計を用いて検討したところ、マクロファージが赤血球を貪食することによって、SPCが産生される事、赤血球の細胞膜が必須である事、および酸化ストレスの中でもOHラジカルに特化した特異的な現象である事、を証明し、さらに、SPC産生にはOHラジカルの産生が必要である事を示唆する結果も出すことが出来た。
以上の結果は、これまでの脂質代謝の学問的な常識(酵素反応によるSPC産生)を覆す、極めて新規性の高い研究成果である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初は、これまでの脂質代謝の概念・常識に従って、酵素的反応によってスフィンゴミエリンからSPCが産生されるであろうと予想して、SPC産生酵素を同定する事を目標に研究をスタートさせたが、溶液中で、酸化ストレスおよび酸性条件下で非酵素的にSPCが産生されるという画期的な現象を発見することが出来た。さらに、臨床的に、くも膜下出血後に血管攣縮が頻発する事に着目し、赤血球の貪食によりマクロファージからSPCが産生される事、赤血球の細胞膜が必須である事、酸化ストレスの中でもOHラジカルに特化した特異的な現象である事、を証明し、SPC産生にはOHラジカルの産生が必要である事を示唆する結果も出すことが出来た。
以上のように、これまでの学問的な常識、当初の計画では予想できなかった、画期的な新規性の高い研究成果をあげており、当初の計画以上に進展している。

Strategy for Future Research Activity

SPC産生には酸化ストレスが必要である事、酸化ストレスの中でもOHラジカルに特化した現象である事、さらにOHラジカル産生の重要性を示唆する結果が出始めている事を踏まえて、今後は以下の研究を進めていく。
溶液中でのSPC産生機構の至適条件をさらに検討し、同時に細胞レベルで、OHラジカル産生機構を検討し、SPC産生におけるそれらの重要性について検討する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初は、これまでの脂質代謝の概念・常識に従って、酵素的反応によってスフィンゴミエリンからSPCが産生されるであろうと予想して、SPC産生酵素を同定する事を目標に研究をスタートさせたが、溶液中で、酸化ストレスおよび酸性条件下で非酵素的にSPCが産生されるという画期的な現象を発見することが出来た。以上は、これまでの学問的な常識、当初の計画では予想できなかった研究成果であり、当初の研究計画を変更して、新たな溶液中でのSPC産生実験のための条件を検討する必要が生じたため、未使用額が生じた。
SPC産生には酸化ストレスが必要である事、酸化ストレスの中でもOHラジカルに特化した現象である事、さらにOHラジカル産生の重要性を示唆する結果が出始めている事を踏まえて、今後は以下の研究を進めていく。
1)溶液中でのSPC産生機構の至適条件をさらに検討、2)細胞レベルで、OHラジカル産生機構を検討、3)SPC産生におけるそれらの重要性について検討、を行う実験に未使用額を使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)

  • [Presentation] The role of direct phosphorylation of myosin light chain by Rho-kinase in Ca2+-sensitization of smooth muscle contraction2014

    • Author(s)
      Sei Kobayashi
    • Organizer
      第91回日本生理学会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学(鹿児島県)
    • Year and Date
      20140316-20140318
    • Invited
  • [Patent(Industrial Property Rights)] 血管弛緩作用を有するペプチド及び血管弛緩剤2013

    • Inventor(s)
      小林誠、木村友彦、岸博子、加治屋勝子、高田雄一、白土絵里
    • Industrial Property Rights Holder
      山口大学、林兼産業株式会社
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      2013-185832
    • Filing Date
      2013-09-09

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi