2011 Fiscal Year Research-status Report
ATP受容体チャネル活性化時のシグナルフローのタンデムコンストラクトによる解析
Project/Area Number |
23659117
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (80211887)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生理学 / 生体分子 / 蛋白質 / ATP / 受容体 |
Research Abstract |
ホモ3量体ATP受容体チャネルP2X2は、ATPの結合部位が3カ所存在するにも関わらず、2分子のATPの結合によって活性化されると考えられている。リガンドの結合という情報が分子内をどのように流れてチャネルのゲートの開口に至るか、特に、3量体中のいくつのサブユニットを伝わっていくのかに焦点をあてて研究を進めている。その目的の達成には、3量体中に導入する変異の位置と数を厳密に規定することが必要なので、会合する3つのサブユニットをタンデムにつなげたコンストラクトを作成し、1ないし2ないし3カ所の変異を導入した。1. ATP結合部位K308Aの変異 3量体中にK308Aを1カ所導入しても受容体チャネルとしての機能に大きな変化は見られなかった。2カ所導入すると機能はほぼ失われた。よってATP2分子の結合が必要かつ充分であることが明らかになった。2. 細胞外ATP結合部位と膜貫通領域TM2をつなぐリンカー領域 D315Aの変異 D315A変異を3カ所導入すると、[ATP]-応答関係が、2成分を示す。このことから、D315 はATPの結合情報をゲートに伝えるリンカーであると考えられる。D315A変異を、1カ所導入しても、この形質は見られなかったが、2カ所導入すると明確に観察された。よって、正常な機能には、2カ所の正常なリンカー部位が必要であることが明らかになった。3. ゲート開口に関わる膜貫通領域のT339Sの変異 P2X2 は膜電位依存性を示すが、T339S変異を3カ所導入すると膜電位依存性が失われ、ATP存在下ではどの膜電位でも開くようになるため、ゲート機能に寄与すると考えられる。この部位に、1,2,3カ所の変異を導入したところ、連続的に性質の変化が見られた。よって、この高さではATP の結合情報は3つのサブユニットに伝達され3つのサブユニットが等しく貢献していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンデムリピートコンストラクトの作成法を順調に確立し、3量体中に位置と数をコントロールして変異を導入することに成功した。このコンストラクトを用いて解析を行い、ATP結合部位レベルからゲート部位レベルにおける3量体におけるシグナルの拡散に関する知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、2つの変異を同じサブユニットに載せたコンストラクトと、異なるサブユニットに載せたコンストラクトの機能を比較解析することにより、縦方向のシグナルフローをより職説的に解析し、さらなる展開を試みる計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変異体作成やcRNA合成等の分子生物学実験に用いる試薬およびプラスチック等の実験消耗品、卵母細胞取得のための実験動物であるアフリカツメガエル、電気生理実験用のガラス電極および試薬等を購入するための物品費に、主として用いる。また、論文成果発表にかかわる費用も支出する。
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Research Products
(3 results)