2012 Fiscal Year Annual Research Report
ATP受容体チャネル活性化時のシグナルフローのタンデムコンストラクトによる解析
Project/Area Number |
23659117
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (80211887)
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Keywords | 生理学 / 生体分子 / 蛋白質 / ATP / 受容体 |
Research Abstract |
ホモ3量体ATP受容体チャネルP2X2は、ATPの結合部位が3カ所存在するにも関わらず、2分子のATPの結合によって活性化されると考えられている。リガンドの結合という情報が分子内をどのように流れてチャネルのゲートの開口に至るか、特に、3量体中のいくつのサブユニットを伝わっていくのかに焦点をあてて研究を進めている。 その目的の達成には、3量体中に導入する変異の位置と数を厳密に規定することが必要なので、平成23年度、会合する3つのサブユニットをタンデムにつなげたコンストラクトを作成し、1ないし2ないし3カ所の変異を導入して解析を行った。その結果、ATP結合部位(K308A)、リンカー部位(D315A)では、2個の正常なサブユニットが必要充分で、ポア領域(T339S)では、変異の数が増えると段階的に性質が変化することから、3つのサブユニットが等しく貢献していることが明らかになった。 平成24年度、シグナルのフローを解析するために、同一サブユニット上(シス)もしくは異なるサブユニット上(トランス)に、上述の異なる高さの変異を導入して、その性質の解析を行った。その結果、K308AとD315Aの場合には、シス変異の場合には、野生型と近い性質を示し、トランス変異の場合には、性質が大きく変化することを見いだした。2つの正常なサブユニットが必要充分であることを示している。一方、K308AとT339Sの場合、および、D315AとT339Sの場合は、シス変異とトランス変異で、性質に大差がなかった。 以上の結果は、2分子のATPが結合し、その活性化シグナルは、D315のレベルまで、同一サブユニット上を流れ、その後、T339Sのレベルでは、3つのサブユニットに等しく拡がるという活性化メカニズムを示すものである。 既に学会にて成果を発表し、現在、原著論文作成の最終段階にある。
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Research Products
(4 results)