2012 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア新生の促進因子のスクリーニングと細胞機能亢進の解析
Project/Area Number |
23659122
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小渕 浩嗣 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10304297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 洋史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20423288)
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Keywords | ミトコンドリア / 酸化還元レベル / 活性酸素 / 生体成分 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは細胞の代謝活性の鍵となる監視機関であるだけでなく、増殖、分化、アポトーシスなど多彩な細胞活動に関与するオルガネラである。従って、ミトコンドリアの数の減少および機能の低下は、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病、パーキンソン病などの神経変性疾患、老化に伴い筋肉の量や機能が失われる加齢性筋肉減弱症(sarcopenia)など、様々な疾患の発症と増悪に関連している。逆に、ミトコンドリアの量が多く、機能が保持された細胞では、種々の刺激に対する保護効果が高いとされる。また、ミトコンドリアのエネルギー代謝機能(脂肪酸酸化、酸化的リン酸化)を亢進させることで生活習慣病をはじめとした様々なミトコンドリア関連疾患の予防および改善に有効であると考えられている。ミトコンドリアの新生(増加)には、持続的な運動などの環境因子が重要であることは以前より知られるが、詳細なメカニズムは未解決な点が多い。この研究では運動などの環境因子に代わるミトコンドリア増加因子として、どのような化合物が効果的であるかを明らかにするとともに、ミトコンドリアの新たな機能を明らかにすることで、様々な疾患に有効な薬物の開発に貢献することを目的としている。 ミトコンドリアの数の増加には、さまざまな因子が関与するとされる。近年、ミトコンドリア増加に寄与することが話題となったresveratrolなどのポリフェノールは、活性酸素レベルを抑える抗酸化作用を有することもよく知られる。よって、ミトコンドリア増殖メカニズムにおいて、細胞内の酸化還元レベルも重要な因子の1つであると考えられる。細胞内の酸化還元レベルを調節するような低分子化合物を中心にミトコンドリア増加作用を示す化合物の探索を行っている。現在、有力な数種の候補について、遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで、ミトコンドリア増加作用を示す化合物を見いだすために、さまざまな化合物についてスクリーニング解析を行ってきたが高い効果を示す化合物を見いだすことが困難であった。 現在、様々な低分子量の化合物、特に酸化還元レベルを調節する化合物や生体成分について検討している段階である。有力な化合物がいくつか候補としてあがっており、それらの生理活性を詳細に検討することが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果をもとに、細胞内ミトコンドリア量を増加させる可能性のあるいくつかの有力な低分子量生理活性物質について焦点を絞って解析する。原則として、培養細胞実験系を用いて、その有効性を分子生物学的・生化学的手法を駆使して様々な角度から解析を行い、それら化合物の効果を明確にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに得られた実験結果をもとに、出来る限り研究計画に沿って実験を進める。良好な成果が得られた場合もしくはその逆の場合は、他の実験材料および方法などにも配慮して研究を進めていき、その成果を発表する。 なお、次年度使用額の研究費については、本研究がスクリーニングを主体とするため、試験する化合物等を最小単位で購入することやキャンペーン価格での購入により生じた。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article]2012
Author(s)
Kobuchi H, Moriya K, Ogino T, Fujita H, Inoue K, Shuin T, Yasuda T, Utsumi K, and Utsumi T
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: vol.7(11)
Pages: e50082
DOI
Peer Reviewed
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