• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

タバコ煙中傷害因子による細胞傷害の分子機構の解明と無害化方法の開発

Research Project

Project/Area Number 23659129
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

三輪 聡一  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40157706)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 堀之内 孝広  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20307771)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords喫煙 / タバコ煙水抽出液 / 細胞傷害 / プロテインキナーゼC / NADPHオキシダーゼ / 活性酸素種 / 動脈硬化 / 薬理学
Research Abstract

喫煙は,アテローム動脈硬化症をはじめとする虚血性循環器疾患の危険因子の一つである。タバコ煙には,およそ4,000種の化学物質が含まれており,半減期の長い細胞傷害性の物質としては,アクロレイン(ACR)がよく知られている。しかし,他の長寿命性傷害因子の実体及び傷害発生の分子メカニズムについては不明が多い。最近,我々は,細胞傷害活性を指標として,ニコチン及びタール除去タバコ煙水抽出液(CSE)中の傷害因子を高速液体クロマトグラフィーで分画した後,質量分析計(GC/MS,LS/MS)により分析し,細胞傷害活性を有するとして,既知のACRの他,新規にメチルビニルケトン(MVK)を同定することに成功した。さらに,これらの分子は,プロテインキナーゼC(PKC)の活性化を介してNADPHオキシダーゼを活性化する結果,細胞において活性酸素種の産生を増加させて細胞傷害を惹起することを明らかにした。本年度の研究では,CSE,ACR,MVKによるPKCの活性化機構について,詳細に解析した。ラットC6グリオーマ細胞において,CSE,ACR,MVKによる細胞膜傷害は,PKC阻害薬及び細胞内Ca2+キレート薬の前処理によって,ほぼ完全に抑制された。C6細胞におけるPKCアイソザイムのmRNA発現をRT-PCR法を用いて解析したところ,PKCα,PKCδ,PKCε,PKCιの発現が認められた。Ca2+依存性PKCαを強制発現させたC6細胞にCSE,ACR,MVKを処理したところ,PKCαの細胞膜局在が細胞質から細胞膜近傍へと変化した。これらの結果から,CSE,ACR,MVKによる細胞膜傷害にCa2+依存性PKCαの活性化機構が関与している可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は,我々が同定することに成功したタバコ煙中の長寿命性傷害因子が心血管系に及ぼす作用の分子メカニズムを解明することにより,新しい原理に基づいた喫煙に起因する傷害予防法を開発することである。この目的のため,「1.タバコ煙中の長寿命性傷害因子の標的分子の同定」,「2.細胞傷害に至る細胞内シグナルの分子機構」,「1.および2.で同定した分子の遺伝子改変(欠損あるいは過剰発現)動物及び野生型動物の心血管系に対して長寿命性傷害因子が及ぼす影響の解析」,「4.タバコ煙中の長寿命性傷害因子の除去・無害化法の開発」について,三年度に亘って検討を行うことを予定していた。初年度である本年度は,1.および2.の項目について検討を行い,長寿命性傷害因子の標的分子として,Ca2+依存性PKCαを同定し,その活性化機構の一端を解明することに成功した。従って,本研究計画は,概ね順調に推移していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究において,我々は,CSE,ACR,MVKによる細胞傷害に,Ca2+依存性PKCαの活性化を介したNOXの活性化機構が重要な役割を演じている可能性を示唆した。また,最近,我々は,単球/マクロファージ系細胞が,CSE,ACR,MVKによる細胞傷害に強い抵抗性を示すことを見出している。一般に,単球におけるPKCの活性化は,マクロファージへの分化を促進することから,PKC活性化作用を有するCSE,ACR,MVKは,マクロファージの活性化を介して動脈硬化の発症・進展に深く関与していると考えられる。次年度は,動脈硬化症の病態基盤となる単球/マクロファージ系細胞及び血管壁構成細胞 (血管内皮細胞ならびに血管平滑筋細胞) におけるCSE,ACR,MVKの作用に焦点を当てた解析を行う予定である。また,これと平行して,ACR及びMVKによるPKCの活性化機構,特にACRやMVKによるPKCのカルボニル化修飾に焦点を当てた検討を行う。さらに,CSE,ACR,MVKを動物(マウス)に長期投与し,これら物質の慢性投与が心血管系組織に及ぼす影響を解析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

-

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Nicotine- and tar-free cigarette smoke induces cell damage through reactive oxygen species newly generated by PKC-dependent activation of NADPH oxidase.2012

    • Author(s)
      Asano H. et al.
    • Journal Title

      Journal of Pharmacological Sciences

      Volume: 118 Pages: 275-287

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ニコチン・タール除去タバコ煙水抽出液によるNADPHオキシダーゼ依存性細胞傷害の分子メカニズム2012

    • Author(s)
      眞井洋輔 他8名
    • Organizer
      第85回日本薬理学会年会
    • Place of Presentation
      国立京都国際会館(京都)
    • Year and Date
      2012年3月16日
  • [Remarks]

    • URL

      http://saibo-yakuri.med.hokudai.ac.jp/

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi