2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規ミトコンドリア融合抑制因子HPGBによる心臓/代謝機能制御の同定
Project/Area Number |
23659143
|
Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
馬場 明道 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (70107100)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10335367)
早田 敦子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (70390812)
|
Keywords | ミトコンドリア / シグナル情報伝達系 / 膵β細胞 / 2型糖尿病 / 心臓 / 遺伝子改変マウス / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究では、新規ミトコンドリア動態制御因子HPGB (hyperplasia-associated gene of pancreatic b-cell) の生理・病態的機能を、遺伝子ノックダウン系/過剰発現系や組織特異的過剰発現 (Tg) マウスの利用により、主に心臓/代謝機能制御の視点から明らかにすることを目的に実施し、平成24年度は以下の結果を得た。 1. ノックダウン系での検討から、HPGBの発現低下により細胞内の活性酸素種量や過酸化蛋白量が増加すること等を見出すと共に、高脂肪食負荷を行ったマウス(2型糖尿病モデル)の膵ラ氏島ではHPGBが発現低下することを確認した。 2. アミノ酸置換変異体の機能解析から、本分子の正常な機能発現には、分子中のセリン残基やスレオニン残基など、複数の“リン酸化修飾を受けうるアミノ酸”が重要な役割を担うことを明らかにした。 3. 膵ラ氏島における過剰発現マウスの解析から、本分子の過剰発現が、高脂肪食負荷によって誘発される代償的な膵ラ氏島過形成(細胞増殖)や糖負荷誘発性のインスリン分泌を有意に亢進させること、またその一方で、同負荷でもたらされる膵ラ氏島での酸化蛋白の蓄積を有意に抑制することを見出した。 4. またHPGBの心臓における過剰発現は、定常時の表現型にはほとんど影響を及ぼさないものの、加齢に伴う心機能障害に対し抑制的に働く可能性等を見出した。 前年度の結果と併せると、HPGBがミトコンドリア融合阻害因子(mitochondrial fusion inhibitor)として機能することが多角的に証明されたと共に、その内因性抗酸化ストレス分子としての特性を初めて明らかにすることができた。
|