2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒト皮膚由来の多能性幹細胞を用いた骨髄移植法の開発
Project/Area Number |
23659145
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出沢 真理 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50272323)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 繊維芽細胞 / 間葉系幹細胞 / 造血細胞 / 骨髄 |
Research Abstract |
皮膚や骨髄などの成人ヒト間葉系組織あるいは培養間葉系細胞に多能性を有する新たな幹細胞 Multilineage- differentiating Stress Enduring cell (Muse細胞)を見出した(Kuroda et al., PNAS, 2010)。この細胞はNanog, Oct3/4, Sox2などの多能性幹細胞マーカーを発現し、1細胞から3胚葉性の細胞に分化する能力を有し、自己複製能を持つ。ヒトES細胞のマーカーSSEA-3を発現し、このマーカーを用いることによりヒト線維芽細胞, 骨髄間葉系細胞の培養細胞の他に、新鮮骨髄液、皮膚などの生体組織からも直接分離可能である。また通常の成人ヒトの組織に存在し、腫瘍性がない。 本研究では多能性を有するが腫瘍性の無いMuse細胞の特性を骨髄移植に活用することを目的とし、患者本人やドナーから簡便に採取できる皮膚などに存在するMuse細胞から造血系細胞への分化を模索する。 本年度はX線照射を行った免疫不全マウスSCIDマウスへの移植を行った。lentivirus-GFPでラベルされたヒト皮膚線維芽細胞由来のMuse細胞をマウスの尾静脈から投与した。投与した細胞数は1万細胞とした。6ヶ月後にGCSFを投与して末梢血を回収しFACSで解析した結果、ごく少数のヒトGFP+細胞がGFP陽性細胞におけるpacific blue-CD45(白血球系マーカー)、PE-Cy7-CD2(T細胞リンパ球系マーカー)、APC-CD19(B細胞系)を発現していることが確認された。また骨髄内を組織学的に検討した結果、GFP陽性のMuse細胞が造血系細胞マーカー陽性の細胞として分化して骨髄内に生着していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画したX線照射SCIDマウスへのlentivirus GFP-ヒトMuse細胞(皮膚由来)の移植を行い、ごく少数ではあるがGFP陽性細胞におけるpacific blue-CD45(白血球系マーカー)、PE-Cy7-CD2(T細胞リンパ球系マーカー)、APC-CD19(B細胞系)が確認されたことは大きな進展である。さらに移植個体の骨髄を組織学的に検討し、GFP陽性のMuse細胞がcluster状に生着し、赤芽球系前駆細胞マーカーCD235a陽性を発現していることも確認されたことは大きな成果である。従って研究はおおむね順調に進んでいると思われる。しかしin vitroでの造血系細胞への分化はまだ成果が出ていないので完璧であるとは言えないと考えている。 H24年度には引き続き移植実験を行うと共に、培養系での造血系細胞への分化も進めて行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年に引き続き、骨髄移植実験とFACSを行い、培養系での造血系細胞への分化誘導を試みる。 同時にMuse細胞がヒトにおいてAllograftすなわち他者のMuse細胞の移植が可能であるかを検討する。HLA1、2の発現をFACSなどで解析し、まずはこれらの因子の発現を探る。次に免疫染色、Western blot、RT-PCR、リンパ球活性化試験などの検証で、それらの組織適合抗原の発現があるかどうかを調べる。細胞はヒト線維芽細胞、ヒト脂肪由来幹細胞などを用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、実験のための試薬や培養器具等の消耗品購入に95万円、国内での成果発表を目的に10万円を旅費とし、外部研究者からの専門的知識の提供に対する謝金として10万円、成果論文(英語)の校閲料に10万円、その他として会議費(成果発表に係る打合せ)を5万円計上する。
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[Journal Article] Transplantation of human bone marrow stromal cell-derived Schwann cells reduces cystic cavity and promotes functional recovery after contusion injury of adult rat spinal cord.2011
Author(s)
Kamada T, Koda M, Dezawa M, Anahara R, Toyama Y, Yoshinaga K, Hashimoto M, Koshizuka S, Nishio Y, Mannoji C, Okawa A, Yamazaki M.
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Journal Title
Neuropathology
Volume: 31(1)
Pages: 48-58
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Multilineage-differentiating stress-enduring (Muse) cells are a primary source of induced pluripotent stem cells in human fibroblasts.2011
Author(s)
Wakao S, Kitada M, Kuroda Y, Shigemoto T, Matsuse D, Akashi H, Tanimura Y, Tsuchiyama K, Kikuchi T, Goda M, Nakahata T, Fujiyoshi Y, Dezawa M.
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.
Volume: 108(24)
Pages: 9875-9880
Peer Reviewed
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