2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659155
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
的崎 尚 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80252782)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 / 生体分子 / マイクロアレイ / 老化 |
Research Abstract |
個々の組織を形成する細胞は、それぞれ固有の寿命をもつことが知られている。ここでいう細胞寿命とは最終分化をとげた細胞が死滅するまでの期間をいう。しかし、細胞ごとの異なる寿命決定のメカニズムについて、これまでほとんど明らかにされていない。また、個々の細胞のターンオーバーは、何らかの生物学的必然性に基づき定まっているはずであるが、その理由もほとんど明らかではない。そこで、本研究において、分化後の寿命が最も短い細胞である腸上皮細胞を解析のモデルとして用い、網羅的な解析も含めた新たな研究方法を構築し、これまで全く明らかにされていない細胞寿命の決定メカニズムの解明に挑戦する。今年度の成果を、以下に列記する。(1)マウス腸上皮細胞の寿命を正確に測定するアッセイ系として、BrdUの取り込みを組織染色で確認する系を確立することが出来た。このアッセイ系を利用して、個体老化、腸内細菌などの条件が腸上皮細胞の寿命への影響を解析中である。他方、レーザーマイクロダイセクション下で幹細胞から分化した後の各ステージの腸上皮細胞を採取して、マイクロアレイやプロテオミクスを用いることにより発現分子の変化を網羅的に解析する系の確立を行っている。(2)細胞寿命の決定機構にかかわる分子の候補として、細胞膜型の分子に着目し解析を進めた。特に、クロージンの特殊な分子種や研究代表者が最近見出している腸上皮細胞に強く発現するチロシンホスファターゼであるSAP-1のKOマウスにおいて、上記(1)で確立したアッセイ系を用い解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、測定系の確立と予備的な解析が順調に進行しており、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
予定している種々のトランスジェニックマウスの腸上皮細胞の寿命を測定する試験を継続して行うと共に、網羅的な解析系を確立し、さらに腸上皮細胞の寿命制御に関わる分子の候補を絞りこむ予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究を推進するために、一般試薬、ガラス・プラスチック器具の購入、実験動物の飼育・購入に使用すると同時に、研究打ち合わせおよび研究成果発表のための旅費に使用することを計画している。 なお、今年度の計画が全て順調に進んだため、当初予定していた使用額に比して9850円が未使用になった。これは、来年度に消耗品費として使用する予定で、繰り越すこととした。
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