2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞極性可視化トランスジェニックマウスを用いた生体内細胞融合の解析
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23659162
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
及川 司 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (20457055)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞極性 |
Research Abstract |
イノシトールリン脂質による極性形成の可視化を個体に応用するために、イノシトールリン脂質結合ドメインを発現するトランスジェニックマウスの作製を開始した。極性可視化に用いるイノシトールリン脂質結合ドメインの持つ潜在的な毒性を考慮に入れ、発現部位と発現時期をコントロールできる、KH2 ES 細胞からマウスを樹立することとした。これは目的遺伝子をDNA 組換え酵素Flippase により、染色体の特定の遺伝子座 (ColA1 下流)に1 コピーだけ保持させることができるものである(Hochedlinger K. et al. Cell, 2005)。さらにKH2細胞はRosa26遺伝子の下流に、抗生物質doxycyclinを投与すると活性化する転写因子(rtTA)を持っており、目的遺伝子の発現がdoxycyclinで誘導できる。このアレルをクロスアウトし、細胞系譜特異的にrtTAを発現するマウスと掛け合わせることで、発現組織を特定の細胞系譜または臓器に限定することができる。 目的遺伝子を保持するKH2 ES 細胞において、mRNA、タンパクの発現チェック及び共焦点顕微鏡による蛍光シグナルの確認を行った。このES細胞をaggregation法で桑実胚に導入し、偽妊娠マウスへ移植し、移植胚由来のマウスを得たが、ES細胞由来の目的遺伝子が生殖細胞を通じて次世代に伝えられる個体はまだ得られていない。 このマウスはイノシトールリン脂質による極性の形成を、時間・細胞系譜特異的に観察できる。したがって、細胞極性が関与する様々な生体現象を、これまでとは全く違った解像度で捉えられるツールとして利用できる点で、生命科学の広い分野に波及効果があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的遺伝子を保持することを確認したKH2 ES細胞をマウス胚盤胞期胚へ注入し、これを偽妊娠マウスに移植し、移植胚由来のマウスを得たが、目的遺伝子が生殖細胞を通じて次世代に伝えられる個体がまだ得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
目的遺伝子が生殖細胞を通じて次世代に伝えられるマウス個体を得るためには、大元のKH2 ES細胞の品質がきわめて重要である。現在までに得られているKH2 ES細胞を用いて引き続きマウス個体を得る努力を続ける一方で、別のKH2 ES細胞のストックから、新たに目的遺伝子を保持するKH2 ES細胞をスクリーニングする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に引き続き、実験試薬、ES細胞培養器具・試薬、マウス飼育費に使用する。
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