2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハダカデバネズミの寿命はなぜ10倍長いのか?ー抗酸化制御に関する遺伝子の単離ー
Project/Area Number |
23659163
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺田 泰比古 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40212063)
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Keywords | 抗老化遺伝子 / 発現クローニング / 遺伝子ライブラリー / ハダカデバネズミ |
Research Abstract |
1)ハダカデバネズミ(Hg)のレトロウイルスcDNAライブラリーの作製: Hgの生後、1-2週間後の個体から、脳、肝臓を採取し、RNAを精製後、Oligo(dT)をアニールし逆転写酵素によって1st strand cDNAを合成し、PCR反応にて二本鎖cDNAを合成した。PMXsレトロウイルスベクターにcDNAを挿入し、大腸菌に形質転換し、cDNAライブラリーを作製した。作製したcDNAライブラリーを、レトロウイルス産生細胞であるPlat-E細胞に遺伝子導入し、2日後に培養上清を採取することでウイルス化した。 2)発現クローニングによる遺伝子スクリーニング: マウス胎児繊維芽細胞(MEF)に遺伝子ライブラリーを導入し、クライシスを超えて増殖が停止せず増殖し続ける細胞コロニーを単離した。また、Hgは癌遺伝子に対して強い抵抗性を示すことから、Hgの癌抑制遺伝子を単離する目的で、v-Rasで癌化したNIH3T3細胞に導入し、癌形質を消失させる遺伝子の単離を行った。Cre-loxPシステムで、Cre遺伝子を細胞に導入することによって、非特異的な細胞株を排除した。これらの細胞クローンからゲノムを回収し、PCR法にて、cDNAを増幅し遺伝子配列を決定した。 3)上記2のスクリーニングで、細胞老化を抑制するHg由来の遺伝子は現在のところ単離されていないが、癌形質を強く抑制する遺伝子は2個単離し、そのうちの1つはホモロジー検索からHgのVimentinであることがわかった。Vimentinは間葉系に特異的な中間径フィラメントであるが、マウス由来のVimentinと比較し、なぜ、HgのVimentinが強い癌抑制効果を持つのかを今後明らかにしていく。
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