2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659165
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前川 利男 独立行政法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 基幹研究所研究員 (90201764)
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Keywords | ATF-7 / 低蛋白質 / コレステロール生合成系 / 遺伝子発現 / H3K9 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
離乳直後のマウスの雄を通常の餌と低蛋白質の餌でそれぞれ9~12週齢になるまで飼育し、通常の餌で飼育した野生型の雌と2日間交配させて、その子供の世代の肝臓での遺伝子発現を比較した。 その結果、低蛋白質で発現が増加した遺伝子が約2200個、発現が減少した遺伝子が約1900個同定された。ATF-7へテロノックアウトではそれぞれ600個と800個程度で、その内130個と120個が野生型の結果と一致した。この中で、既に報告されている通り、野生型マウスでは低蛋白質で飼育した場合コレステロール生合成系の遺伝子発現が顕著に上昇していた。しかし、ATF-7遺伝子のヘテロのノックアウトマウスでは両方でコレステロール生合成系の遺伝子発現が上昇しており、両者でほとんど差が見られなかった。 以上の結果から、野生型マウスの雄親を低蛋白質の餌で飼育すると、通常の餌で飼育した場合と比較して、子供の肝臓でのコレステロール生合成系の遺伝子発現が上昇する現象にATF-7が深く関与することが明らかになった。 ATF-7の次世代へ繋がる標的遺伝子を探索するために、マウスの精巣から精巣細胞を分離した後、ATF-7特異抗体を用いてChIPを行い、次世代シークエンサーで解析した。その結果、ATF-7は約1300個の遺伝子に結合していた。ATF-7の遺伝内における結合部位を調べた結果、およそ7割が転写開始点から500塩基対以内に存在しており、転写制御領域に結合していることが明らかになった。また、コレステロール生合成系の遺伝子の約半分にATF-7は結合していた。 マウスの精巣から精巣細胞を分離した後、ヒストンを抽出して、ヒストンH3K9のジメチル化とトリメチル化の程度を野生型マウスとATF-7 KOマウスで比較した。その結果、ATF-7 KOマウスではジメチル化及びトリメチル化ヒストンH3K9の著しい減少が明らかになった。
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Research Products
(6 results)