2011 Fiscal Year Annual Research Report
リジン脱メチル化によるエネルギー消費調節とその治療ポテンシャル
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23659173
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 肥満 / エネルギー代謝 / 高脂肪食 / LSD1 / 阻害薬剤 / FAD |
Research Abstract |
栄養摂取の状態がエネルギー代謝調節に関わる遺伝子発現に重要な影響を与えると考えられるが、栄養飢餓(カロリー制限)の場合のNAD^+(nicotinamide adenine dinucleotide)依存性の脱アセチル化酵素Sirt1の役割が知られている。飢餓状態下では、細胞内NAD^+増加によりSirt1が活性化されて、PGC-1α等の標的タンパク質の脱アセチル化を行い、蓄積していたエネルギーを消費する生体応答を担っている。このように、環境とエピゲノムの関係を考察する上で、栄養摂取の状態は重要な因子となる。エネルギー代謝恒常性の機構には未知の面が多いが、リジン脱メチル化酵素LSD1が不可欠な役割を果たすことを見出した。本研究では、FAD(flavin adenine dinucleotide)依存性LSD1による脱メチル化に着目し、エネルギー代謝調節における役割を踏まえて、培養細胞とマウスモデルを用いた解析を行い、治療的ポテンシャルについて検討することを目的とした。LSD1阻害によってエネルギー消費遺伝子の発現が誘導され、その結果、ミトコンドリア機能とエネルギー代謝が向上することを見出した。この新知見に基づいて、高脂肪食で誘導された肥満モデルマウスの病態と合併症がLSD1阻害によって著しく改善される結果を得た。この成果は、LSD1とFADに着目することで、肥満症の分子機序と治療法の開発に直接につながることが期待できる。
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