2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬淵 昭彦 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80312312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 卓 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20512263)
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Keywords | ゲノム医学 |
Research Abstract |
今日のヒトゲノム研究の進展に伴い、特定の形質の原因変異・感受性多型同定法が確立しつつある。特に疾患を対象としたゲノムワイド関連解析研究では、さまざまな疾患関連多型が同定されている。云うまでもなく最多の多型はSNPであるため、現在までに報告されたこれらの疾患関連多型もその多くはSNPである。しかしながら、ゲノム中にはSNP以外にもCNVをはじめとして多種の多型・変異が存在する。 本研究では、ヒトゲノム中に存在する均衡型構造多型・変異のうち特に逆位と染色体内・染色体外転座を同定する手法を確立することを目指す。複数検体をメイトペアシークエンス法で次世代シークエンサーにより同時にリードすることで費用低減を図りつつ、新規開発する専用プログラムで高速に均衡型構造多型・変異の候補領域を網羅的に検出する。これと平行し逆位領域の切断点同定のため、PCR法、LAMP法、MIP法その他により最も簡便かつ高速に検出できる方法を検討する。検出された候補領域に対して切断点を同定可能か検討し、可能であれば複数領域に対して実施することで均衡型構造多型・変異地図を作成する。更に、申請者らが研究を行っている変形性関節症に関してこの多型の関連解析を行い、変形性関節症感受性逆位の同定を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度より当研究室では次世代シークエンサー Ion torrent を導入し整備に努めて来た。本研究では、均衡型構造多型の同定・検出を目的とするため、リード長の大きいシステムが望まれる。初期の Ion torrentではリード長が100 bpであり構造多型の同定・検出には多少困難であったが、200 bpまでリード可能なチップが販売され当初これを用いて実験を行うこととしたが、直後400 bpのリード可能なチップが平成24年末までに販売開始されるというアナウンスがあり、予定を変更してこの販売を待っていた(Applied Biosystems社のホームページ参照)。しかしながら平成25年2月まで販売されていない。同社への問い合わせでは4、5ヶ月程度遅れるが販売は行うとの話があり、技術面、金銭面からり構造多型の同定・検出ではこれを待ち研究を行う予定に変更した。 本年度は
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Strategy for Future Research Activity |
複数検体を長鎖インサートのメイトペアライブラリを作成、次世代シークエンス法でリードすることで、網羅的な均衡型構造多型・ 変異を同定する。具体的には、ゲノムDNAをPicoGreeenで濃度調整後、ウオーターシェアーを2種類の長さ(3 kb、8 kb)で均等に切断 、DNA Blunting Kitにより切断片を平滑化する。3’端がCAGCAGで一部にビオチン標識されたインターナルアダプターをT4 DNA Ligase でライゲーションした後、DNAを環状化する。この環状DNAをEcoP15Iで切断(もしくは別の方法で)すると中央にアダプターが、両端 にペアとなった25-27塩基のターゲット部位を含むDNA断片が得られる。 申請書では次世代シークエンサとして、Life Technologies/SOLiD™ 4 と記載したが、当研究室が導入した機器は、同社の I ON Torrentであった。これは、シークエンス精度は同程度に高いが解析速度で劣る。ビオチンタグによりDNAを濃縮し、アダプターを 付加し、次世代シークエンス法による塩基配列の決定を行う。 データ解析は、均衡型構造多型・変異検出専用プログラムで実施する。まず、タグ配列等を除去し、リピートマスカーによりターゲ ット部位(1、2とする)のリピートをマスク、ターゲット部位1をリファレンスゲノムへマッピングさせる。マッピング可能な場合 、その周囲配列(3 kb断片では片側5 kb、8 kb断片では片側10 kb)を優先しマッピングするが、マッピング不可の場合、更に外側に、 最終的には全ゲノムに対してマッピングさせる。ターゲット部位の方向、サイズなどから、挿入、欠失、逆位、染色体内転座、染色体 外転座を判断、得られた情報を検体毎に物理的位置に応じてスコア化して解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
均衡型構造多型・変異検出のための多検体同時解析システムの構築」では、網羅的な均衡型構造多型・変異の検出を試みるため、次 世代シークエンサーによる解析が必須である。ただ、全ゲノムシークエンスと異なり、コンティグを作成する必要は無く、切断点を含 むメイトペア部分の配列決定のみで済むため、検体の多重化が可能であり本方法の効率は非常に高いと考えられる。次世代シークエン サーを用いた配列決定は1回あたりの費用が非常に高く高額な消耗品を予定していた。しかし、昨年度は、次世代シークエンサーの導 入が遅れたため、実際の費用はかからず、次年度に持ち越した。次年度は、次世代シークエンサーによる配列決定を複数回予定してお り、当該年度は、高額の研究費を予定している。
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